R1話 TOKIMEKIの灯火
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隣にそっと座る。
歩夢は侑の目をしっかり見つめて言う……いつもの優柔な様とは打って変わって。
「しっかりしてよ?侑ちゃんがいなくなったら私1人になっちゃうよ。」
「う、うん……」
1人??その意味を説明しよう。
歩夢と侑は孤児であった。
このお台場に一室の住居を構える……それは孤児として育てられたことに他ならない。
その育て主は??日本政府ではなく、エルシャム王国である。自治とは名ばかり……まともな政策を打ち出せない政府に代わって王様が、そのような救済をしているのだ。
故に2人が住むマンションは成長した孤児が入っていることが多い。
そしてもう1つの意味……それは、歩夢と侑は保護された時から一緒だからだ。
DNAは一致せずとも??彼らは2人で1人のようなものなのだ。
「そっち何味?」
「こっちはレモン塩カスタード味。」
「お、一口ちょうだい!」
「いいよ。あーん♪」
カップルの如く食べさせ合いをする2人……いや、先ほどの背景事情を踏まえれば当然なのだ。間接キスも…腕組みも……2人の自撮りも……全てが日常。
コッペパンを食べ終えた2人……話題がなくなった。
侑は話題を探そうと歩夢に振る。
「これからどうしよっか?」
「映画でも見る?」
「何かピンと来るのないんだよねー」
歩夢が出した提案をぼかして却下する……そんな無題の状況に、侑は嘆息を吐く。
「何か画期的な…こう、視界がパァっとクリアになるモノってないかなぁ??」
「刺激のある毎日が続くと疲れちゃうし、傷つくことだってあるよ?」
「平凡な毎日は退屈だよ歩夢〜!」
「退屈な毎日でも、永遠に幸せならこれ以上のものはないでしょ?危険な火遊びはするもんじゃないよ。」
歩夢は笑顔で刺激を求める侑をたしなめる……
彼女にとっては《今が》幸せなのだ???それを自分から壊すなど馬鹿らしく絶望的に嫌なことなのだ。
しかし???そんな願いは…砕かれる。
「上原歩夢16歳。高咲侑なる子にくっつくように保護された、変哲なく振る舞おうと奮闘する女子高校生……この『逢魔降臨暦』にはこうとしか書かれていない。」
「あなたは…!」
「あれでは足りないと仮の主人に言われてね??こうしてまた君の前に姿を現したわけだ。」
2人の前に飄々と現れた……謎の店員こと、ベージュの仰々しい服に身を包んだ預言者風の男。
さすがにここまで突っかかってくる男に侑は名乗るように求める。
「あなた…一体誰なんですか?」
「私はウォズ??というのは本来の名。この世界では黒地祝という名で通している。」
「????」
歩夢は無言で立ち上がった
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