第二章
[8]前話
「今はね」
「何もないですか」
「あの娘大学は北海道で」
そちらでというのだ。
「一時ここから離れていてその間にね」
「二人は別れたんですね」
「あの娘が大学に行った時に」
「距離が離れて」
「自然とね」
「そうだったんですね」
「その時に澄佳さんと会ったから」
それでというのだ。
「それでね」
「今に至りますね」
「そうよ、今二人は何もないけれど」
そうした関係はというのだ。
「昔はね」
「そうした関係だったんですね」
「そうよ、そのことはね」
「私も気付きましたし」
「わかっていてね」
「はい」
澄佳は義母の言葉に頷いた、見れば夫も彼女の従姉も普通に親戚同士の挨拶をするだけだった。そしてその従姉は。
どう見ても自分の夫とかなり仲がよかった、見れば周りに夫そっくりの顔の小さな子が三人もいて彼等も可愛がっていた。
それを見て澄佳は全てわかった、そしてだった。
法事に帰ると夫と同じベッドでいつもの様に休んだ、その中で夫に言った。
「そろそろ私達も子供欲しいわね」
「じゃあ頑張る?」
「これかで以上にそうしてくれる?」
「奥さんがそう言うなら」
夫は嬉しそうに応えて身体を寄せてきた、そして。
すぐに息子が産まれ次に娘が産まれた、それから。
子供達と一緒に幸せな家庭を築いた、それが夫の今だった。澄佳はそれがわかって充分満足であった。最初からそうだったが過去はどうでもよかった。
元カノだけれど 完
2022・7・27
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