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第三十話 部活をしてその四

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「あの人達はああしたことをしたの」
「そうなのね」
「そう。だからね」
「ああしたことをしてもなの」
「よかったのよ」
「成程ね、今の考えと昔の考えは違うのね」
「そうよ、昔は運動中お水飲んだら駄目だったし」 
 母は一華にこの話もした。
「汗を余計にかいて疲れるからって」
「いや、熱中症で倒れるでしょ」
「昔はそれも当然だったし」
「下手したら死ぬのに?」
「それでもよ」
「いや、昔の考えって酷いわね」
 一華は中学の部活夏のそれの時顧問の先生達に水分補給を言われて実際に摂っていたことを思い出して話した。
「死ぬじゃない」
「それでも当時はそれがよかったのよ」
「昔はなの」
「お母さんの前は兎跳びもしてたし」
「それもなのね」
「そう、してね」
 そしてというのだ。
「足腰鍛える様にしていたのよ」
「それどころか膝壊すでしょ」
「後でそれがわかってね」
「しなくなったの」
「そうよ、昭和五十年代の終わりにはね」
 尚昭和の終わりになってもそれをさせていた体育教師もいた、それだけ不勉強でも教師として務まるのが日本なのだ。
「そうなったのよ」
「兎跳びもそれまではよかったのね」
「そうだったのよ」
「ううん、昔と今じゃ違うのね」
「戦争だってあったでしょ」
「あの頃はしようしようってなってたのよね」
「そうよ、戦争をしないと」
 二次大戦のことも言うのだった。
「駄目っていうね」
「そうだったのね」
「まあ実際あそこまでいったらするしかなくなっていたけれど」
 それでもと言う母だった。
「そうした考えだったのよ」
「昔は」
「そう、それであんたは今の娘だから」
 それでというのだ。
「お水を飲んでね」
「お塩もなのね」
「ちゃんとね」
 そちらもというのだ。
「摂りなさいね」
「お水を飲むなら」
「そうよ、それで運動をした時一番飲むといいのはね」
「スポーツドリンクね」
「そうよ」
 こちらだというのだ。
「そのことは覚えておきなさいね」
「ええ、よくね」
「そうしてね、しかしね」
「しかし?」
「昔はお水飲むなって言ってたのはね」
 母は考える顔で述べた。
「今思うと無茶ね」
「昔はそれでよくても」
「今と昔じゃ全然考えが違うのはね」
「お母さんも思うのね」
「ええ、お母さんが学生の頃と今でも全然違うしね」
「考えがよね」
「そうよ、ゆとり教育も一時あったけれど」
 それでもというのだ。
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