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肉屋に来る猫達
第二章

[8]前話
 マナービはどうかという顔になりそのうえで親父に問うた。
「あのこの子達はお店の」
「ああ、野良だよ」
 あっさりとだ、親父は笑って答えた。
「この辺りのな」
「そうですか」
「あんたもムスリムだろ」
「はい」
 この問いには即座に答えた。
「それは」
「ならわかるよな」
「猫は大事にせよ」
「ムハンマドも言われてるだろ」
「その通りです」
「勿論俺達もムスリムさ」
 親父は明るく笑って話した。
「トルコはイスラムの国だからな」
「そうですよね」
「だからな」
「猫は大事にされていますか」
「それでだよ」
「彼等に毎日ですか」
「肉をやってるんだ」
 そうしていると話した。
「こうしてな」
「そういうことですね」
「信仰を抜いてもな」
 例えそうしてもというのだ。
「俺達三人共猫は好きでな」
「それで、ですか」
「切れ端の売りものにならないものでもな」
 そうした肉でもというのだ。
「毎日やってるんだよ」
「そうですか」
「ああ、この時間になったらいつも来るからな」
「そうでしたか」
「ああ、毎日この時間に来るんだよ」
 そうなっているというのだ。
「それでやってるのさ」
「そういうことですか」
「ああ、この時間に来たらな」
 店にというのだ。
「あんたもこいつ等に会えるからな、猫が好きならな」
「来ればいいですね」
「そうだよ、どうだい?」
「忙しくない時はそうさせてもらいます」
 笑顔で応えてだった。
 マナービは実際に別に忙しくないとこの時間に肉屋に来る様になった、そして肉を買ってであった。
 そうしてだ、店に来て肉を食べる猫達を見て楽しんだ。実は猫好きである彼もその光景を楽しみにするのだった。


肉屋に来る猫達   完


                 2022・7・26
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