第一章
[2]次話
肉屋に来る猫達
トルコのマニナに転勤したばかりのイマム=マナービ若い小柄な彼はこの時馴染みになったばかりの肉屋の前にいた、そしてだった。
店のケースの中の肉を見てこう言った。
「さて、今日は何を買おうか」
「今日は鶏肉が安いよ」
店の親父が笑って言ってきた、見れば他に男の店員が二人いて彼等は熱心に働いている。一人は赤いシャツでもう一人は青いシャツで親父と同じエプロンを着けている。
「それはどうだい?」
「あっ、確かに安いですね」
マナービはその値段を見て目を輝かせた。
「鶏肉が」
「だからどうだい?」
「はい、じゃあそれ買います」
「それで何処をどれだけ買うんだい?」
「胸肉を三百頂きます」
「あいよ、わかったよ」
やや太った親父は笑顔で応えてだった。
鶏肉を出して測ってからだった。
袋に包んだそれをマナービに出した、マナービはそれを受け取ってだった。
勘定を支払った、これで店を後にするつもりが。
「ニャア〜〜」
「ニャア」
ここで二匹の猫が来た、見れば。
一匹は黒い部分が多い黒と白の八割れでもう一匹はチャトラだ。見ればどちらも雄であり去勢済みである。
その彼等を見てだ、二人の店員赤いシャツの彼も青いシャツの彼も同じに言った。
「親父さん、来たよ」
「今日も一緒だよ」
「ああ、もうそんな時間か」
親父は二人の言葉を聞いてだった。
まずは店の時計を見て時間を確認した、そしてだった。
丁度傍にあった肉を切った売りものにならない端をだ。
皿に入れて店の前に出した、そのうえで猫達に笑顔で言った。
「今日もたんと食えよ」
「ニャア」
「ニャオン」
猫は親父にも鳴いてだった。
その肉を二匹仲良く食べはじめた、その光景を見てだった。
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