第二章
[8]前話
「有り難いことに」
「では前の飼い主ですので」
「私にですか」
「彼等を家族に迎えられてはと思いまして」
「連絡してくれましたか」
「そうです、如何でしょうか」
「神のお導きですね」
涙を落としてだ、キャスリンはスタッフに応えた。
「これは」
「そう思われますか」
「あの時はどうしようもなくなり」
全てを失ってというのだ。
「仕方なくそちらにお願いしましたが」
「今度はです」
「私があの子達を救うんですね」
「もう一度家族に迎えて」
そうしてというのだ。
「そうなります」
「私が決断すれば」
「そうです、どうされますか?」
「答えは一つです」
これがキャスリンの返答だった。
そうして彼女はオレゴンのイザベルの家まで行ってだった。
イザベルと会うとだ、挨拶の後抱き合って彼女に告げた。
「今までベニーとルーシーを有り難う」
「これからまたお願いね」
イザベルも言った。
「あの子達を」
「残りの一生必ずね」
「幸せにしてくれるのね」
「ええ、あの時は適わなかったけれど」
十年前はというのだ。
「けれどね」
「これからは」
「そうさせてもらうわ」
「そうしてね」
「ニャア!」
「ニャンニャン!」
ベニーとルーシーがここで二人のところに来た、そして。
キャスリンを見ると信じられないといった顔で驚きの声をあげてだ。
彼女に駆け寄って飛び付いてきた、キャスリンは二匹を抱き締めてからイザベルに対して笑顔で告げた。
「ではこれからね」
「また家族になれたから」
「もね」
「二度とよね」
「離れないわ」
イザベルに約束した、そしてだった。
イザベルと別れた、そのうえで家族と共に二匹と暮らしはじめた。その生活は最初から幸せに包まえていて。
イザベルにもだ、電話で言えた。
「任せて、貴女を失望させないわ」
「そう、じゃあ任せてもらうわね」
「あの子達をずっと見守っていてね」
その幸せな姿をと言うのだった、笑顔で言ってそのうえで二匹にご飯をミルクをあげたのだった。喉を鳴らす彼等に。
猫と人の運命の赤い糸 完
2022・7・26
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