第一章
[2]次話
猫と人の運命の赤い糸
この時オレゴン州に住んでいる一人暮らしの老婆イザベル=アンコックは絶望した顔で娘のヨハンナ赤髪で青い目に面長の顔を持つ長身の彼女に話した。
「癌であと一年か二年しかよ」
「そうなのね」
「だからね」
傍にいる黒い雄猫のベニーと白い雌猫のルーシーを見て話した。
「この子達の新しい飼い主を探すわ」
「そうしてあげるのね」
「貴女のお家はお池にお魚がいるでしょ」
それで飼っているのだ。
「沢山」
「ええ、そうなのよね」
「猫はお魚狙うからね」
「この子達はドッグフードしか食べないけれど」
それでもというのだ。
「猫は好奇心旺盛だからね」
「悪戯でちょっかいかけるかもだし」
「飼わない方がいいから」
「だからなのね」
「ええ、新しい飼い主さんを探すわ」
「そうするのね」
「この子達を貰ったボランティアの保護団体に連絡して」
そうしてというのだ。
「探してもらうわ」
「わかったわ、けれどどちらの子も二歳の時に引き取って」
「ある人がお家もお仕事も家族も失ってね」
「手放さなくざるを得なくなって」
「それで二匹一緒にってあって一緒に引き取って」
「それからよね」
「ええ、十年一緒に暮らしていたけれど」
それがというのだ。
「もうね」
「お別れね」
「けれどこの子達にはね」
「幸せになってもらうのね」
「もうどちらの子も十二歳で」
猫としては高齢である。
「お年寄りだけれど」
「それでもなのね」
「そうなってもらうわ」
幸せに生きてもらうとだ、こう話してだった。
二匹の猫のことを団体に話した、そのうえで。
新しい飼い主を探してもらったが団体のスタッフは団体自体と昔から関係のあるとある人物にこの猫達のことを話した。
その人はキャスリン=バマー今はネバダ州に住んでいてそこに家庭と仕事と家のある短い黒髪と黒い目の中年の女性だ、その彼女は話を聞くとだ。
信じられないという顔でだ、こう言った。
「あの、本当なの!?」
「はい、あの子達のことはお話しましたね」
「あの時のことは」
電話でだ、キャスリンはスタッフに応えた。
「もうどうしようもなくて」
「彼等を手放して」
「そして新しい家族に迎えてもらって」
「ほっとされましたね」
「そうなりましたが」
「ですがその方がです」
二匹の飼い主つまりイザベルがというのだ。
「もう癌で」
「だからですか」
「新しい家族を迎えることになりまして」
「それで私にですか」
「今貴女は家族もお家もお仕事もありますね」
「はい」
そうだとだ、キャスリンは答えた。
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