第四幕その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「就職して同じ職場で知り合いまして」
「うちの人が一年先輩でして」
「それで仕事のことを教えているうちにです」
「仲がよくなりまして」
「それで一緒に住む様になって」
「結婚しました」
「あの時は何もなかったですね」
ご主人は笑ってお話しました。
「古いアパートに二人で住みはじめて」
「テレビがなくて」
そしてというのです。
「冷蔵庫も洗濯機もなくて」
「そんな中ではじまって」
「子供が生まれまして」
「自転車を買って」
「それからテレビや冷蔵庫も買って」
「洗濯機も買ってでした」
お二人で懐かしいものを見る目でお話しました。
「前のお家を建てて」
「ローンが大変でしたけれど」
「免許も取ってです」
「車も買いました」
「それで孫も生まれて」
「地震もありましたけれど」
「曾孫も生まれてです」
そうしてというのです。
「気付けば六十年です」
「今はパソコンもスマートフォンも持っています」
「もう車の免許は返しましたが」
「こうしてです」
「一緒に暮らしています」
「幸せに」
「子供は息子が二人、末に娘がいて」
今度はお子さん達のお話をしました。
「三人共結婚しまして」
「孫は七人います」
「三人共子供が出来てです」
「それで皆結婚しまして」
「曾孫は十人です」
「皆大きくなっています」
「どの子も色々ありましたけれど」
それでもというのです。
「皆今は健康です」
「真面目に暮らしてくれています」
「ヤクザにもならずに」
「ちゃんと働いて生きていてくれています」
「それは何よりですね」
先生はご夫婦のお話を聞いて笑顔で言いました。
「お子さん達もそうですと」
「はい、色々ありはしました」
「六十年の間に」
「震災があったり子供や孫が大きな怪我や病気をしたり」
「私達にもそうしたことがありました」
お二人にもというのです。
「怪我をしたり大きな病気をしたり」
「喧嘩をして離婚も考えたり」
「仕事のことで悩んだり」
「親戚の揉めごとに巻き込まれたり」
「生きていると何かとあるからね」
お静さんはそれはと答えました。
「順風満帆に見えてもね」
「色々あったよ」
「本当にね」
ご夫婦はお静さんに親しく応えました。
「危ないこともあったわ」
「何度もね」
「詐欺師に声をかけられたり」
「近所にヤクザ屋さんが来たりね」
「孫がいじめに遭ったり」
「別の孫が事故を起こしたり」
「曾孫の娘がぐれた時期もあったり」
お二人で過去のことを思い出してお話します。
「思い出すとね」
「厄介ごとも多かったわ」
「お互いの親も亡くなったし」
「お葬式もあったから」
「一緒になってから」
「六十年の間にね」
「そ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ