第五百三話 サファリパークその十三
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「これは危ない人だと」
「私も確信したわよ」
クルミも腕を組んで叡山に言う。
「これはヤクザ屋さんだって」
「間違えてやって来たと思ったっしょ」
サロメはそうだったと話した。
「だから始末しようと思ったっしょ」
「その時に始末すればよかったかもな」
一色は笑って話した。
「まあこれは冗談だが」
「本当に冗談ですか」
「今のところはな」
獺のぬいぐるみの姿で叡山に応えた。
「そうじゃ」
「そうだといいけれどな」
「ははは、しかしいじめをせんことはよいことだ」
一色もそれはと認めた。
「実にな」
「そうですよね、私も最初今の家族になった時お姉ちゃんが怖くて」
葉月は自分のことを話した。
「いじめられるんじゃって思ってました」
「けれどいじめられなかったよな」
「はい、お姉ちゃん凄く優しいです」
城戸に確かな声で答えた。
「私とタイプは全く違いますが」
「それで警戒していたんだな」
「怖そうにも見えて」
それでというのだ。
「心配だったんですが」
「それがいい人だってわかったんだな」
「はい、お互いのことがわかって」
姉も葉月のことを理解してくれてというのだ。
「今ではです」
「仲良しなんだな」
「とても。お家に帰っても楽しいです」
「それは何よりだな。しっかりとした家もあるとな」
城戸は葉月の話を聞いて笑顔で述べた。
「いいよな、俺なんか今の下宿に入るまでな」
「喫茶店にですね」
「住んでたアパート追い出されてな」
そうしてというのだ。
「会社の中で暮らしてたんだよ」
「屋根の下で暮らせるだけましだったんですよね」
「ああ、けれどずっとそこにいてだったんだよ」
夜々にも話した。
「編集長にいい加減にしろって言われてな」
「それで、ですね」
「どうしようかって言われてな」
それでというのだ。
「今の下宿に入るまでな」
「大変だったんですね」
「そうだったんだよ」
「屋根があればそれでいい」
橘はこう言った。
「それで充分だ」
「橘さんはまた特別だからね」
啓太郎は全員にこのことを話した。
「この人のお家本当に何もないから」
「ベッドもないんですよね」
「確か」
「そうですよね」
「うん、毛布があるだけだよ」
啓太郎は天道いつきとむつみ、ななせに話した。
「俺も見て驚いたから」
「他に何がいる」
だが橘だけは平然として言う。
「一体」
「いると思います」
「ベッドもそうですし」
「他のものも」
「寝られればよくないか」
「何かライダーって生活臭のする人少ないんやけど」
ぎんかも引いて言う。
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