第二章
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「この子はそうしてくれました」
「そうだったのよ」
白髪にグレーの目で眼鏡をかけた老婆が言ってきた。三人の母のシェリーである。見れば切り傷や擦り傷があるが無事である。
「この三日ね」
「よかった、しかしどうしてここに」
「道に迷ったの、それでね」
「ここでか」
「足を滑らせてマックスと一緒に茂みに落ちて」
「ずっとここにいたんだな」
「私では出られなくて」
そしてというのだ。
「寒さに震えていたわ」
「よく無事だったよ」
「マックスがずっと傍にいてくれたから」
それでとだ、母は息子に話した。
「温めてくれたの」
「そうか、マックスお手柄だな」
「ワン」
マックスは鳴いて応えた、そうしてだった。
母と彼を診てもらうと無事だった、かくして老婆は愛犬に助けられて彼と共に家に帰ることが出来た。
この話を聞いてだ、マリー=ソトヤは今自宅の暖炉の傍で思った。ポーランドのビエジビンという村に住んでいる三十代前半の主婦だ。ブロンドの長い髪の毛にライトブルーの目で真っ白な肌の小柄な女性だ。その彼女が自分そっくりの娘であるまだ小さいジュリアに話した。
そしてだ、笑顔で言った。
「あの時のあんたと一緒ね」
「アメリカにもそんなことあるのね」
ジュリアは愛犬、黒く耳が折れたやや大型の雄犬を抱き締めつつ応えた、犬は抱き締められて嬉しそうに尻尾を振っている。
「そうなのね」
「あんたは遊びに出てね」
「帰られなくなったわ」
「それで沼の方で濡れて泣いてたわね」
「一晩ね、ぬかるみにはまって動けなくなって」
「それでツェザルスがずっと傍にいて温めてくれてたわね」
「そうだったのよね」
その犬を抱き締めたまま母に応えた。
「あの時ツェザレウがいなかったら」
「どうなっていたかしら」
「そう思うと怖いわ」
「だからツェザレスに感謝してね」
そうしてというのだ。
「一人で遠いところに如何にでね」
「そうするね、ツェザレスあの時は有り難うね」
娘は愛犬に感謝の言葉を述べた。
「これからも一緒にいようね」
「ワンッ」
ツェザレスはジュリアの言葉に鳴いて応えた、そして。
その娘と愛犬を見てだ、マリーは今度は夫のペトロ一緒に畑仕事をしている黒い目に金髪で大柄の彼にも話した。
「あの時は村の人に皆出てもらって」
「警察や消防署も動いてくれてな」
夫も応えた。
「夜だったから赤外線カメラ積んだヘリまで動いて」
「大騒動だったわね」
「しかしツェザレスがいてくれたから」
「助かったわね」
「犬は大変な時もいつも傍にいてくれる」
「凄く頼りになる生きものよ」
「全く以てその通りだな」
夫婦でツェザレスを見て笑顔で話した、そしてだった。
彼にご飯をあげた、そのうえで
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