第二十六話 待ち受ける者
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はさせません」
グライフスの答えに軍務尚書と統帥本部総長が満足げに頷いた。上手く乗せられたかと思ったが止むを得ない事だと思い直した。
「正式な辞令は五月一日に発令される。今日、此処で伝えるのは内示と受け取って貰いたい」
「承知致しました」
軍務尚書がブラウンシュバイク公を見た。公が頷いて話し始めた。
「帝国は今、非常に危うい状況にある。私達はそう考えています」
沈痛と言って良い口調だ。表情も決して明るくは無い、以前はもっと穏やかな表情をしていた。だがそれ以上に話しの内容に驚いた。危うい状況? 一体どういう事なのか……。
「前回の戦いでフェザーンは反乱軍の情報を帝国に通知しませんでした。明らかに故意と思われます。フェザーンは帝国と反乱軍の勢力関係が帝国側に大きく傾きつつあると考えているようです。そしてそれを好ましくないと考えている」
グライフスを見た。難しい顔をしている、彼も同意見という事だろう。
「劣勢にある反乱軍と帝国、同盟の勢力均衡を望むフェザーンが協力して帝国に対抗する、ブラウンシュバイク公はそうお考えでしょうか」
「メルカッツ提督、私だけではありません。軍務尚書も統帥本部総長もそう考えています。それ故の組織改正なのです」
軍務尚書、統帥本部総長が厳しい表情で頷いている。
「オーディン、イゼルローン要塞間は約四十日程かかります。フェザーンが反乱軍の軍事行動を帝国に知らせなければイゼルローン要塞は単独で四十日を切り抜けなければなりません。これまでのように仲間割れをしているような余裕は無いんです」
「ブラウンシュバイク公の言うとおりだ。これまでとは状況が変わった。フェザーンが信用できない以上油断は出来ん。あの要塞が落ちればとんでもない事になる」
公、そしてシュタインホフ統帥本部総長が危険性を訴えた。確かに、思っていた以上に状況は厳しい。
「卿らの力になると言ったのは嘘ではない。要塞司令部、駐留艦隊司令部の中で協力する事に不服を示す人間が居ればこちらに言って欲しい。直ぐに更迭する。最前線で仲間割れを起こす様な馬鹿は帝国軍には不要だ」
エーレンベルク軍務尚書の不機嫌そうな言葉にグライフスと顔を見合わせた。どうやら我々はこれまでのどの司令官達よりも厳しい状況に置かれる事になるらしい……。
帝国暦487年 4月 25日 オーディン 宇宙艦隊司令部 ヘルマン・フォン・リューネブルク
昼食を取り自室に戻るとオフレッサーから連絡が入った。相変わらずの悪人顔で食べた物の消化が悪くなりそうだ。俺を睨みながら唸るような口調で今すぐ宇宙艦隊司令部に行けと言う。ブラウンシュバイク公が俺に話が有るとの事だった。
司令部に行くと直ぐに司令長官室に通された。ブラウンシュバイク公が笑み
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