第五章 トリスタニアの休日
第五話 赦し
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けど……とめられない。
どうしても……とめられない。
……わたくしは、ウェールズ様の復讐をとげたいの?
……それとも……。
わからない……それさえもわからない……わたくしは……わたくしは一体……。
ノックの音が執務室に響く。
手を顔から離したアンリエッタは、苦し気に歪んでいた表情を元に戻した。
「どうぞ」
「アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン、参上つかまつりました」
扉を開け入ってきたのは、一人の女騎士。
短い金髪が揺れる下には、澄んだ青い目が輝き。身を包む鎖帷子の上には、百合の紋章が描かれたサーコートを羽織っている。
そして、腰には杖ではなく剣が差してある。
つまり、彼女はメイジではなく、ただの平民であることを示していた。
目の前まで歩いてきた女騎士――アニエスはアンリエッタの前で膝をつくと、懐から出した書簡を差し出した。
「調査結果です」
「ご苦労様です」
書簡を受け取ったアンリエッタは、無言で調査結果を確認すると、一度強く目を閉じ、天井を仰ぎ、
「……あなたもですか」
小さく呟いた。
自覚はあった……。
自覚はあったのだが……。
「ねぇ、シロウ。チップが背中に入ったの……とってくれない?」
「……胸が苦しいの……緩めてくれない……ねぇ……お願い」
「両手塞がってて……だから、汗……拭いてくれない……胸の汗が気持ち悪いの……ねぇ、お願い」
「……口がさみしいの……もうっ、そうじゃないって……キ・スでしょ、ほら、ね」
最近ジェシカがやたらと積極的になってきた。
やたらとくっついてくるし、誘惑してくる。
さらに、それに対抗するようにルイズもまた……。
「もうクタクタ……シロウ命令よっ……あ、足を揉みなさい! ……んっ、そ、そこじゃないわ……も、もうちょっと上よ……ん……あっ……っ……ぁ」
「服を締めすぎて痣になっちゃった……し、シロウ……こ、この薬塗ってく、塗りなさいっ! ……ひっ! だ、大丈夫よ! ちょ、ちょっと気持ちっ……冷たかったのよ……つ、続けなさい……っ……ん……ぁ……」
「さ、寒いのよこのベッド……だ、だからシロウで暖を取るの! 寒いからよ! へ、変なことしないでよ……あ、そ、その……おねがいします……」
ブレーキを踏むことなく突っ走る二人は、まるで互いの限界を試し合う、チキンレースをしているようだった。
幸か不幸か? 二人の度胸? は強すぎたためか、二人はブレーキを踏む機会を測れず……結果。
「……シロウ……あ、あたし、我慢できない……今……誰もいなから……お願い……ちょっとだけ、あなたを……」
「シロウが火を点けたんだから……責任とって鎮火
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