第二十九話 夏休みにはその十
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「それでよ」
「お家の中でもなのね」
「露出の多い恰好はするなってね」
その様にというのだ。
「言われてるしね」
「それうちも言われたわ」
留奈も言ってきた。
「お兄ちゃんいるからね、うちも」
「あんたの場合も」
「そう、お母さんに言われたの」
「かな恵と事情は同じね」
「シャツは半袖にしてブラも着けてね」
そうしてというのだ。
「透けない色にしてね、ズボンやスカートも丈が長い」
「そうしたものね」
「ミニスカは出来るだけ止めろって言われたわ」
「そうなのね」
「生足はあまり見せるなってね」
その様にというのだ。
「言われたわ」
「あんたにしてもなの」
「そう、男は皆狼とは言わないとも言われたわ」
「そこ狼でしょ」
「だって狼は大人しいからってね」
留奈の母はこう言ったというのだ。
「人は滅多に襲わないからって」
「ああ、狼って実はね」
一華も言われて頷いた。
「人襲わないのよね」
「そうでしょ」
「ニホンオオカミだってね」
「そう、だから家畜になってよ」
「犬になったのよね」
「狼は人を襲わないのよ」
留奈はこのことを強く言った、欧州の童話での狼は家畜を襲うから悪とみなされた結果であり日本では田畑を荒らす獣を食べてくれる有り難い存在であったのだ。
「だからね」
「男は皆狼とか言わないのね、おばさん」
「野獣と言ってるわ」
「そうなのね」
「餓えたね」
「狼よりも怖いのね」
「豹か虎と思えってね」
その様にというのだ。
「言われたわ」
「そうなのね」
「それで野獣だから無防備で目の前に出ることはね」
「したら駄目なのね」
「いきなり襲われるってね」
「言われたの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「露出はね」
「あんたもお家でもなのね」
「するなって言われてるから」
母にというのだ。
「していないわ」
「そうなのね」
「まあね、親兄弟でもってね」
理虹は口をへの字にさせて言ってきた。
「あるにはあるからね」
「信じられないけどね」
一華は理虹にも応えた。
「もうそれって」
「けれどないかっていうとね」
「あるわよね」
「だから兄妹とか姉弟の結婚もね」
「ああ、昔あったのよね」
「日本神話でもでしょ」
理虹はこちらの話もした、古事記や日本書紀の話だ。
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