第一章
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地団駄踏んでももう遅い
同じクラスの斎藤公康についてだ、前田知佳はいつも言っていた。金色にしたブロンドでクールな感じの表情に大きな目で唇は小さい。やや丸顔で顎の先は尖り背は一五八位でスタイルは結構いい。黒いミニスカートと赤いブラウスにえんじ色のネクタイという制服である。
「性格はめっちゃ好きなのよ、斎藤君」
「ぐう聖よね」
「誰にも優しくて公平で」
「困った人は絶対に助ける」
「犬や猫の保護活動をしていて」
「勉強だって教えてくれるし」
「そして勉強教えてくれるだけあってね」
知佳はクラスメイト達にさらに話した。
「成績優秀だしね」
「絶対いい大学行けるわね」
「何でも八条大の法学部志望らしいけれど」
「あそこ偏差値七十超えてるけれど」
「あそこも合格出来そうね」
「斎藤君ならね」
「私も随分助けてもらっていて」
それでというのだ。
「感謝してるわ、いいお友達よ」
「その言葉がフラグね」
「まさにね」
「斎藤君の場合もね」
「外見がね」
これがというのだ。
「タイプじゃないのよね」
「背は高いけれどね」
「一九〇はあって」
「けれど丸々としてて」
「脂肪率四十あって」
「体重百四十はあるわね」
「私太ってる人はね」
どうにもと言うのだった。
「タイプじゃないから」
「あくまでお友達」
「それで終わりね」
「斎藤君には」
「ぐう聖で頭よくて背が高くてもね」
太ってるからだとだ、知佳はこう言ってだった。
斎藤とは友人でいた、馬鹿にするどころか好きであったが友人としてだった。そうして高校を卒業するとだった。
地元の大学に通い入学とほぼ同時にショッピングモールの蕎麦屋でアルバイトをはじめた、その店は美味いと評判で雑誌やネットでも度々紹介された。
それで繁盛しているが大学二回生アルバイトをはじめて二年目の夏にだった。
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