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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第120話:その手は誰かが握っている
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、堪らず奏がこれで本当に問題ないのかと本部に問い掛ける。傍から見ている分には、どう見ても体に良さそうには見えない。
「ッ!? 腸を、掻き回すような!? これが、この力が――!?」
あまりの苦痛に、翼でさえ思わず涙を流すほど。
だがそれこそがイグナイト・モジュールだったのだ。
そもそもが意図的に暴走状態を引き起こそうとする代物。それを制御しようと言うのだから、生半可な事で出来るものではない。
確かに事前に、イグナイト・モジュールがどういう物かは説明されていた。しかしテストも無しのぶっつけ本番は…………
「あぁ、あぁぁぁぁぁぁあああああっ?!」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
伝承にあるダインスレイフは殺戮の魔剣。誰もが心の奥に潜める闇を引き出し、人為的にシンフォギアを暴走状態へと持って行く。
それは言い換えれば、自分自身の内に眠る闇との戦い。誰もが目を背けたい、封じておきたい存在との戦いは、肉体への痛み以上の苦痛を2人に齎していた。
――――翼は1人、ステージの上に立っていた。翼の愛する、歌を歌う為のステージ。
しかし、観客席に座っていたのはノイズばかり。彼女の歌で感激し、楽しむ者ではなく、打ち倒すべき敵だけが彼女の歌を聞いていた。
「私の歌を聞いてくれるのは、敵しかいないのか――!?」
誰も自分の歌など求めていない。夢など意味がないと突き付けられ、翼の表情が絶望に染まる。
『お前が娘であるものか。どこまでも汚れた風鳴の道具に過ぎん』
愛する父は、そう言って翼の事を拒絶した。
そんな翼でも、相棒である奏は受け入れてくれる。奏は純粋に翼の事を、剣ではなく1人の人間として見てくれる。
だがしかし、奏は翼から離れていく。何故なら彼女の隣に立っているのは、翼ではなく颯人だったからだ。
「待ってくれ、奏! 奏ぇぇぇぇぇっ!?」
必死に翼が手を伸ばしても、颯人と手を繋いだ奏はあっという間に遠ざかっていき見えなくなる。
結局その場に残されたのは、剣としての道を生きる翼1人であった。
その事実に翼は暗闇の中で1人涙した。
「うぅ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
――――クリスが見ている絶望の光景は、もっとずっとシンプルなものだった。
破壊された町並み。倒れる後輩や友達、仲間。
何より自分の愛する少年が、無残に首を欠き切られた姿で息絶えた姿。
自分の親しい者達が居なくなり、一人ぼっちになった世界。一時でも温かな居場所を知ってしまったからこそ、それを失った絶望感は大きい。
共に絶望の光景を見ている最中、2人の手を掴む者が居た。
「負けるな翼!!」
「か、奏――!?」
「!!」
「と
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