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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第120話:その手は誰かが握っている
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スちゃん!」
「「!!」」
颯人は左手の指輪を取り換えながら後ろを振り返らずに翼とクリスに声を掛けた。
「アイツは暫く俺が足止めしといてやる。その間に、あの背伸びしたガキンチョの度肝を抜く奇跡を見せてやりな!」
〈フレイム、ドラゴン。ボー、ボー、ボーボーボー!〉
姿を通常のフレイムからフレイムドラゴンに変えた颯人は、ウィザーソードガンのコピーで増やし二刀流となってキャロルへと挑んだ。ほぼほぼ無策で挑んできた颯人を、キャロルは感情に任せて突っ込む愚か者と嘲りながら糸で迎撃した。
「真正面から等!」
放たれた無数の糸が、颯人を切り裂かんと迫る。糸はただ飛んでいくだけでなく、キャロルの意のままに動き彼を四方から捉えようとした。あれは流石に避けられないと奏達が援護しようとしたその時、信じられない事が起こった。
なんと颯人が何もしていないにも拘らず、キャロルの攻撃が勝手に空を切ったのだ。
「何!?」
目測を誤ったのか? キャロルが頭を振ってもう一度糸を放つが、それらはやはり何もしていない颯人のすぐ近くを通り過ぎるだけで彼自身には掠りもしない。
たった1人でこの場の5人を圧倒してみせたキャロルにしてはあり得ないミスの連発。その光景にクリスは既視感を感じた。
――何だ? あの動き……あたしはあれを最近何処かで……?――
「奏、透! 2人は翼ちゃん達を守ってやってくれ! その間こいつは俺が相手をする!」
「くっ!? 図に乗るな!!」
十分な距離まで接近し、キャロルに向け刃を振り下ろす颯人。キャロルはそれを糸を束ねて作り出したドリルで防ぎ、反撃の刺突を放った。颯人はそれを踊るような動きで回避する。
何はともあれ、キャロルの意識が完全に颯人に向いているのは事実。今の内に、イグナイトを起動すれば…………
「付き合ってくれるよな?」
「無論、1人で行かせるものか!」
翼とクリスは頷き合い、新たな形になったギアコンバーターのスイッチを押した。
「「イグナイト・モジュール、抜剣!!」」
【【DAINSLEIF】】
モジュール起動スイッチを押すと、ギアコンバーターが2人の胸から外れ空中で鏃のような形となる。コンバーターからは針が伸び、それが一直線に2人へと向かい突き刺さった。
「いぃっ!?」
「!?」
まさかそんな起動方法だったとは知らず、傍で見ていた奏と透は度肝を抜かれる。
驚き目を見開く2人の前で、翼とクリスの口からは苦悶の声が零れた。
「ぐ!? か、かぁぁぁっ!? ぐぐぐっ?!」
「ぐぁっ!? あ、あぁぁぁぁぁっ?!」
「お、おいおい! 大丈夫なのかよこれ!?」
赤黒く禍々しい光に包まれながら苦悶の声を上げる2人に
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