暁～小説投稿ｻｲﾄ～:魔法絶唱シンフォギア・ウィザード　～歌と魔法が起こす奇跡～第120話：その手は誰かが握っている

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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード　～歌と魔法が起こす奇跡～

GX編
第120話：その手は誰かが握っている
[3/8]

けるように飛び込みこれを回避。上か下に避けられる事を予想していたキャロルは、この回避方法に僅かに顔を顰めた。

「目のいい奴……！」

　透の思わぬ回避に目を奪われている間に、いつの間にか翼と奏に接近されており刀と槍が振り下ろされた。

「大きくなったところで！」
「実戦経験少なきゃなぁ！」

　豊富な実戦経験を持つ2人からしてみれば、相手が少し変な回避方法をした程度で意識を奪われるなど愚の骨頂。その隙は痛手となって自分に返ってくる。

　そうキャロルに教えようと飛び掛かった2人だが、キャロルは2人が攻撃を放つよりも早くに次の手を打ってきた。

　両手を広げると、キャロルの左右に赤と青の魔法陣が現れそこから炎と水の奔流が放たれる。今正にキャロルに飛び掛かろうとしている2人には、それを回避する手段はない。

「させるか！」
〈バインド、プリーズ〉

　そこは颯人がしっかりとサポートした。伸ばした魔法の鎖が2人を左右別々の方向へと引っ張り、砲撃の射線から外し事なきを得る。

「大丈夫か？」
「あぁ。しかし、面倒な奴だな」
「あぁ、まるで要塞か戦艦だ」

　糸による視認困難な攻撃に加え、強力な砲撃。キャロルはそれを一歩もあの場から動かずに放ち彼らを近付けずにいるのだ。

　だが何よりも驚くべきなのは、あれほどの攻撃を歌ったり詠唱を唱えたりする訳でもなく放っている事だ。颯人達魔法使いだって、強力な魔法を放つ際には指輪の交換とハンドオーサーに翳すと言う過程を踏まなければならないのに、キャロルはほぼノーモーションで使ってくるのだから堪らない。

　彼らの戦いの様子を、他所での戦闘を終えたウィズとアルドが遠くから眺めていた。

「アルド、あれはまさか？」
「はい。間違いありません。恐らくは想い出の焼却をしているのでしょう」

　アルドの答えにウィズは呻き声を上げた。

　同じ頃、S.O,N.G.本部ではエルフナインが想い出の焼却について弦十郎達に話していた。

「キャロルやオートスコアラーの力は、想い出と言う脳内の電気信号を変換錬成したもの。作られて日の浅いものには力に変えられるだけの想い出が無いので、他者から奪う必要があるのですが…………数百年を永らえて、相応の想い出が蓄えられたキャロルは……」
「それだけ強大な力を秘めている？」

　マリアが最後に締めた様に、長く生きれば生きただけ力と出来る想い出は蓄えられるので、それがそのまま出力に繋がるという訳だ。

　だがここで問題となるのは、『焼却』と言う部分であろう。変換したとしたら、失われた想い出はどうなると言うのか？

「力へと変えた想い出はどうなる？」
「……燃え尽きて失われます」

　無論、全く補給の当てが無い訳でもない。想

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