第六十話 何があっても自分はその九
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「どうして魔王になったかはわからないの」
「そうなの」
「さっきお話した軍記物の魔王と違って怖くないけれどね」
「怖くはないの」
「妖怪の大群は率いていても」
それでもというのだ。
「けれどね」
「それでもなの」
「そう、そのお話の主人公を殺そうとしないで」
尚岡山県に残る子の話は実話だという。
「ただ毎晩妖怪を送り込んで嫌がらせとかする位で」
「襲ったりしないの」
「怪異は見せるけれど」
「そこまではしないのね」
「そうなの」
こう咲に話した。
「それで一月毎日仕掛けて」
「それで最後に出て来て?」
「もうこれで終わりって言って妖怪達を引き揚げさせてね」
そうしてというのだ。
「それでね」
「終わりなの」
「そうなの、魔王と言っても妖怪達の主という感じでね」
「人を脅かしたりしないの」
「世を乱そうとかね」
「そうもしないの」
「もう魔王になると冗談抜きに政府も警戒するから」
愛は歴史のこのことも話した、日本程怨霊の存在を恐れた国はなくそれは政権についても同じであるのだ。
「東京だって幾重の結界はね」
「怨霊対策でもあるし」
「京都もそうでね」
「政府もなのね」
「明治維新で真っ先に怨霊鎮めてるから」
まさに最初にそうしたのだ、何よりも先にだ。
「そうもしてるしね」
「怨霊を本気で怖がってるのね、政府も」
「安国神社なんかよ」
「あれは英霊でしょ」
「戦争で死んだ人達よ」
愛はそれでと話した、それも真顔で。
「だったらね」
「それならなのね」
「もうね」
「何かしたら」
「粗末に扱ったりまして冒涜する様なことをしたら」
それこそというのだ。
「その時はね」
「怨霊になるのね」
「マスコミがよく冒涜してるけれど」
「絶対によくないのね」
「今そういうことしたマスコミ物凄く叩かれてるでしょ」
「ネットじゃ常にね」
日本のこの世界では最も忌み嫌われていると言っていいだろう、まさに敵として扱われている程である。
「そうなってるわ」
「そうなったこともね」
「それもなの」
「英霊の人達を冒涜したこともね」
「一因ね」
「そのことも批判されているしね」
彼等の悪行の一つとしてだ。
「そもそも英霊も怨霊になることがね」
「マスコミはわかってなかったのね」
「護国の鬼って言うでしょ」
「そこの鬼は幽霊よね」
「そうだけれど鬼って言葉にね」
これ自体にというのだ。
「何も思わず自分達の為だけに冒涜したから」
「今批判されているのね」
「犯罪者扱いされているでしょ」
そうなっているというのだ。
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