第六十話 何があっても自分はその八
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「ある方は怨霊からね」
「魔王になの」
「なられてるのよ」
「そうなの」
「どの作品で書かれてるかもね」
「言えないの」
「教科書にも出て来る作品だけれどね」
愛はこのことは話した。
「その作品は」
「そんなに有名な作品なの」
「歴史上の有名人が大勢出て来る」
「そうした作品なの」
「あえて言うなら平家物語と同じジャンルね」
「ええと、軍記物?」
「それになるわ」
愛はそこまで話した。
「ここまでは言えるわ」
「ううん、どの作品かは」
「ちょっと言いたくないの」
「お姉ちゃんとしては」
「若しかしたら祟るんじゃないかって思って」
それでというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「ええ、ここからは言わないわ」
咲に強い声で断った。
「悪いけれどね」
「悪くないわ、ただ日本じゃ怨霊が魔王にもなるのね」
「西洋じゃ悪魔で力が強いのがなるけれどね」
「日本じゃそうなのね」
「山本太郎左衛門って魔王もいるのよ」
愛はこの魔王の存在も話した。
「岡山県の方に出たらしいのよ」
「そうなの」
「何かあるお侍が一ヶ月の間ずっと妖怪がお家に来てね」
それでというのだ。
「その最後にね」
「その魔王が出たの」
「そしてその姿が完全にお侍のものだったの」
「そうなの」
「多分人がね」
「魔王になったのね」
「その名前や服装から考えるに」
愛は咲に真顔で話した。
「どうもね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「そのことを考えるとね」
「人間が魔王になるのね」
「日本ではね」
「怨霊になればそうもなるのね」
「そうよ、東京なんかそのお話でね」
「ああ、そうね」
咲も言われてはっとなって頷いた、そのうえで愛に対して真剣な顔になって言うのだった。
「そうだったわね」
「二つもあるでしょ」
「そうよね」
「こう言えばわかるでしょ」
「ええ、洒落になってないわね」
「そうよ、怨みがどれだけ怖いか」
「東京にいればわかるわね」
愛に真剣なかおのまま応えた。
「本当に」
「尚更ね、だからよ」
「怨みには気をつけないとね」
「そうよ、怨み程怖いものもないのよ」
「人間を怨霊にして」
「魔王にもするね」
「そうししたもよ、ちなみにさっきお話した山本太郎左衛門さんはね」
この魔王の話を再びしたのだった。
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