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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 
第四幕その六

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「あの時は大変だったわ」
「街が崩壊してね」
「自衛隊の人達や沢山のボランティアの人達が来てくれてね」
「助かったね」
「ええ、自衛隊の人達は立派だったわ」
「物凄く頑張ってくれたね」
「それでどれだけの人達が助かったか」
 先生にこのことをお話します。
「そのことはよかったわ、けれどね」
「地震自体がだね」
「嫌よ、一番起こって欲しくないわ」
「災害の中でも」
「戦争は政治で避けられてもね」 
 そうなってもというのです。
「災害はそうはいかないでしょ」
「人間の力ではね」
「だからね」
 それでというのです。
「災害は戦争よりも怖くて」
「起こって欲しくなくて」
「そしてね」
「迷惑なものだね」
「その中でも地震がよ」
「一番怖いね」
「そのことがわかったわ、関東大震災とかを見てもだけれど」
 それでもというのです。
「阪神大震災ではね」
「その身で経験して」
「わかったわ、そしてその震災をね」
「お二人は乗り越えて」
「そうしてよ」
「今も一緒におられるんだね」
「そうよ、辛いことだけでなくね」 
 地震等だけでなくというのです。
「悲しいことも楽しいことも嬉しいこともね」
「一緒にだね」
「六十年の間ね」
「共に経験してきたんだね」
「それも支え合ってね」
「だからこそ強い絆だね」
「そうよ、そしてその絆を育んできた人達とね」
 まさにというのです。
「一緒に会いに行きましょう」
「それじゃあね」 
 先生はお静さんの言葉に笑顔で頷きました、そうしてです。
 日曜の朝に三丁目の田中さんのお家にお静さんに案内されて動物の皆と一緒に会いに行きました、するとです。
 清潔で静かなたたずまいの一軒家にです、白髪頭でとても穏やかなお顔立ちの老夫婦がおられて迎えてくれました。お二人共静かな服装です。
 そのお二人がです、先生に微笑んで挨拶してくれました。
「はじめまして」
「はじめまして」
 先生も笑顔で挨拶を返しました、そうしてです。
 それぞれ自己紹介をしてです、先生はお二人にお話しました。
「お静さんからお話は聞いています」
「そうなのですか」
「六十年ですね」 
 ご主人に応えて言いました。
「結婚されて」
「はい、有り難いことにです」
 ご主人は先生に微笑んだまま答えました、見れば本当に穏やかなお顔です。
「そうなりました」
「長い様であっという間でした」
 奥さんも言います、この人も穏やかなお顔です。
「この六十年」
「そうなのですね」
「まさかです」
 奥さんはこうも言いました。
「これだけ一緒にいられるとは思っていませんでした」
「お互い高校を卒業してです」
 またご主人がお話します。
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