第四幕その二
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「いや、こうしたものが普通に食べられるなんてね」
「いいことだね」
「お二人が結婚した時なんてね」
「昭和三十年代だね」
「こうしたものもね」
「そうそうなかったんだね」
「特にケーキがね」
このスイーツがというのです。
「なかったのよ」
「贅沢なものだったね」
「紅茶もね、ハイカラなもので」
そうした印象でというのです。
「そうそうはね」
「飲めるものじゃなかったね」
「いつも飲んでる人は」
当時はというのです。
「滅多にね」
「いなかったね」
「相当なハイカラ趣味か」
「お金持ちかな」
「そうだったわ、それが今ではね」
「こうしてだね」
「普通に飲めるわ、しかもロイヤルミルクティーなんて」
この紅茶はというのです。
「聞いたこともなかったわ」
「そんなものだったんだね」
「ホットミルクとホットティーを一緒に入れるのよね」
「そうだよ、今じゃ普通に飲めるね」
「ええ、ただね」
それでもというのです。
「あの頃はね」
「牛乳もだね」
「冷蔵庫も普及しだした頃で」
「牛乳が沢山あるとあの中で保存するから」
「それもなくて」
冷蔵庫もというのです。
「中々ね」
「飲めるものじゃなかったね」
「そうだったわ」
昭和三十年代はというのです。
「本当にね」
「それが今じゃこうして」
「普通に飲めるわね」
「そうだね、しかもね」
先生はお静さんにそのロイヤルミルクティーを飲みつつ笑ってお話しました。
「イギリスのものよりもね」
「日本のものの方がなの」
「美味しいよ」
「そうなのね」
「お水がいいし」
まずこのことがあってというのです。
「それに牛乳だってね」
「日本の方が美味しいの」
「うん、かなりね」
「そうなのね」
「お水の質がいいのは土地がいいからで」
それでというのです。
「乳牛はその土地に生える草を食べてお水を飲むね」
「そのいいお水をね」
「そうするから」
だからだというのです。
「牛乳もね」
「美味しくなるのね」
「そうだよ、ちなみにイギリスのお水は硬水だよ」
こちらのお水だというのです。
「日本のお水は軟水だよ」
「その違いもあるのね」
「硬水で煎れる紅茶と軟水で煎れる紅茶はまた違うし」
「そのこともあるの」
「その軟水の質がね」
日本のそれはというのです。
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