第一章
[2]次話
悪質アイドルヲタ
岡田明信はひょっとこに似た顔をしている、黒髪はやや長く背は高いがいささか腹が出ていてお世辞にもいけてるとは言えない外見だ。
大学を出て今はIT関係の企業で働いている、そんな彼の趣味はアイドルのおっかけで。
今は贔屓のとある地下アイドルを応援している、だが。
ある日仕事帰りにステージに行ってだ、彼はアイドルを応援するファン仲間達に話した。
「あの、最近変な人来てるね」
「ああ、清太氏」
「あの人だね」
「あの人がだね」
「マナーが悪いね」
今もいるやたら大柄で丸坊主で白い髭を鬣の様に生した面長で日焼けした肌におかしな太り方をした男を見て話した。
「最近来る様になった人だけれど」
「別に新入りがどうとかじゃなくて」
「マナー守らないからね」
「無理矢理応援の最前列に来て」
「皆と違った応援の仕方で」
「しかも推しの娘への応援皆に強いるし」
「困るね」
「何なのかな、あの人」
岡田は首を傾げさせて言った。
「一体」
「服装はどう見てもカタギじゃないね」
「スーツにしても」
「喋り方もそうで」
「ヤクザ屋さんにしか見えないよ」
「グッズの買い方もね」
「いつも物凄い量を買ってるけれど」
そのグッズ達をというのだ。
「あれもおかしいね」
「たまたまヤクザ屋さんがアイドル好きになった?」
「それかな」
「ヤクザ屋さんと芸能界の関係ってあったらしいけれど」
「昔は」
「それが今もなのかな。けれどマナーは守って欲しいよ」
岡田は心から思ってこの言葉を出した。
「本当にね」
「全くだね」
「そのことは思うよ」
「心からね」
「アイドルを応援するにも礼儀は必要だよ」
それはというのだ。
「そこを守って欲しいね」
「むしろ真のアイドルファンはマナーを守る」
「そして推しを応援しない」
「そういうものだからね」
「紳士であって欲しいよ」
マナーなぞ一切なく悪目立ちの応援をする清太由紀夫を見て話した、そしてだった。
ステージの後の握手会の時にもだ、清太は。
並んでいる他のファン達に凄んだのだった。
「おい、わしは最初に握手するからお前等どけ」
「お客様困ります」
そんな彼にスタッフの人がすぐに注意した。
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