第一章
[2]次話
これぞジャスティスカイザー
大和田家の郵便箱に入っていた手紙を開くと一枚の写真があった、それでだった。
その写真を観てだ、一家の息子であるまだ小学三年生の正臣あどけない顔立ちの彼は家の中に飛んで帰って家事をしている母の直美背は一五四位で奇麗なきめ細かい白い肌に整った童顔と黒く長く艶のある髪の毛を持つ彼女に言ってきた。
「お母さん、この写真」
「どうしたの?」
「お母さんとお隣の伊藤さんだよね」
「えっ、何これ」
その写真はというと。
直美と隣のご主人がそれぞれ派手な服で夜の街で抱き合っている写真だった、だが。
ただ単に何処かの男女の顔の部分に二人のものをそれぞれ貼っただけだった、それでこの日仕事が休みでだ。
夫の信彦眼鏡をかけて面長で正臣によく似た顔で黒髪をショートにしている優しい顔立ちで長身の彼に見せると。
彼は目を丸くしてだ、まずこう言った。
「こんな下手な合成写真観たことないよ」
「そうよね」
妻もまさにと応えた。
「これはね」
「あの、そもそもね」
信彦は妻に話した。
「お隣さん同性愛者だから」
「奥さんはおられても」
「男の人だからね」
「私と浮気なんてしないわよ」
「それに君だって」
「浮気なんてしないわよ」
直美は怒って言った。
「絶対に」
「君はそうした人だよ」
「だからね」
「これは悪質な悪戯だね」
「全くよ」
夫に怒った顔で答えた。
「間違いなくね」
「僕もわかるよ、けれど問題は」
「誰がこんな悪戯したか」
「それだけれど」
「心当たりを思い出したわ」
妻は夫に怒った顔のまま言った。
「ジャスティスカイザーよ」
「あの二人だね」
「この前あの二人が駅前で自分達を応援しろクラウトファンティングに金入れろってメガホンで喚いていたから」
卑怯卑劣の限りを尽くし全世界から忌み嫌われている彼等がというのだ。
「正臣が一緒にいたから言ったの」
「あんな風になったら駄目だってだね」
「そう言ったわ、そうしたらね」
二人を指差して息子に言ったのを思い出しつつ夫に話した。
「うっせえ婆、手前の隣の旦那の旦那との浮気写真捏造してばら撒くぞって言われたわ」
「それだね」
夫も間違いないと確信した。
「あの二人だね」
「そうね、本当に下衆な連中ね」
「全くだよ」
夫婦でこう話していると外が騒がしい、それで何かと思って外に出ると。
例の二人がその写真を枯れ木に花の感じでばら撒きつつ言ってきた。
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