救った代償
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」
てか、子供かあいつらは。
少し呆れながら、街を歩いて飲食店を探す。
と、その時だった。
「聞いたか?
隣街が戦で壊滅したって話。」
「ああ、聞いた聞いた。
何でも住民達が悪政をしていた県令を倒して、復興している最中を狙ったらしいって話だろ。」
その言葉を俺は聞き逃す事ができなかった。
俺は二人の行商人の所に詰め寄った。」
「その話、詳しく聞かせてくれないか。」
「お、おう。
といっても、詳しい事はあまり知らない。
前々から他の州牧やらが、街を狙っていた事くらいだ。
何度か規模は小さいが、戦もあったらしい。
俺達が知っている事と言えばそれくらいだ。」
「そうか。
ありがとう。」
話を終えた行商人達はどこかへ行ってしまう。
さっきまでは何を食べに行くか、などで盛り上がっていたが、今はそんな雰囲気ではない。
「せっかく救ったのに、そんなのってありかよ。」
一刀は悔しそうな表情でそういった。
手を強く握っているのが見える。
「きっかけはおそらく、鴈龍とその兵士団体の壊滅だろうな。」
「それじゃあ、俺達がやった事って・・・・」
自分達のした事が結果的に街を壊滅させてしまった事に、一刀は唇を強く噛み締めた。
鴈龍とその兵士団体があったおかげで、あの街は皮肉にも鴈龍たちに守られていた。
「なぁ、縁。
俺達がした事って間違っていたのか?
あのまま苦しむ人達を、黙って見過ごせばよかったのか?」
「確かにあのまま見過ごせば、あの街は壊滅する事はなかった。
でも、鴈龍からの悪政から彼らを救った時、彼らは喜んでいた。
それはお前が一番分かっている筈だ。
彼らを悪政から救った事は間違っていないと思う。」
「・・・・・・・」
まだ何か思う事があるのか、一刀は俺達から離れていく。
確かにあんな話を聞いて、飯を食いに行く気分ではない。
「縁殿、一刀殿の前ではああは言いましたが、貴方も悔やんでいるのでしょう。」
見透かしたように豪鬼は言う。
気がつけば、俺は掌から血が出るほど、手を握り締めていた。
「調子に乗っていたんだ。
とんとん拍子に人を救う事ができたから。
あの時ももっと広く見ておくべきだったんだ。
州牧が失脚したんだから、その後の事などもっと考えるべきだったんだ。
それなのに俺は・・・・・」
やり場のない憤りを感じながら、歯を強く噛み締める。
「縁殿、一人で背負わないでください。」
「星の言うとおり。
それに縁が一刀に言ったじゃない。
あの時、救ったのは間違っていないって。」
「儂らは仲間です。
こういう事は一人で背負っていてはいけません。」
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