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我が剣は愛する者の為に
救った代償
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、玉座を出て行く。
傍らにある剣を掴んで、鴈龍は思う。

(この騒動を上手く抑えれば、街の住人も私に反旗を翻さない。
 周りの州牧や県令も私の土地を狙って、何かとちょっかいをかけてきたが、これを機に一気にたたみかける。)

剣を軽く振り回し、調子を確かめながら考える。
すると、聞き慣れた足音が玉座前に集まっているのが聞こえた。
手塩をかけて育てた自分の兵士。
これまで他の州牧達からの攻撃を耐えてきたのも、彼らがいてこそだった。
そんな彼らが、たかが御使いのおまけのような奴らに、負ける筈がないと確信していた。





「小細工はなしだ。
 正面から行くぞ。」

俺は氣で両手を強化して、拳を握る。
隣は豪鬼が両手で斧を持ち、さらに俺と同じ様に両手を強化している。
タイミングを合わせて、俺達は同時に前の門に渾身の一撃を与える。
門は吹き飛び、俺達は堂々と正面から侵入する。

「人がいない。」

槍を構えつつ、星は兵士の影が一人もない事に疑問を抱く。

「隠れて待っている可能性もあるわ。
 油断しないで。」

鉄鞭を構えつつ、月火が俺達に言う。
相手は頭が良い事は知っている。
どこに伏兵が居るか分からない。
互いの死角をカバーしつつ、中に入って行く。
しかし、場内に入っても兵士の影が全く見当たらない。
鐙黄の話によれば鴈龍は玉座にいる。
この城の見取り図などは分からないので、とりあえずは適当に場内を歩いていると、一つの部屋の前に武装をした兵士が集まっていた。

「どうやら、相手は自分から仕掛ける気はなかったようですな。」

豪鬼も気がついたらしく、肩に乗せている斧を両手でつかむ。

「ですが、分かりやすくていいでしょう。」

「その言葉に同意するわ。」

続けて、星と月火も構える。
すると、玉座であろう部屋の前にいた兵士は俺達の存在に気がつく。

「あれか、鐙黄が依頼した旅人は。」

「女だからって容赦するな。
 仲間が二人殺られているんだ。
 行くぞッッ!!」

その部隊の将らしき人物がそういうと、剣を持ちこちらに向かってくる。
俺も鞘から刀を抜いて、剣先を向かってくる兵士に向ける。

「さて、派手に暴れるか。」

両足を氣で強化して、地面を蹴る。
一番先頭を走っている兵士の顔面を、蹴り飛ばす。
後ろに跳ばされた兵士はその後ろにいる兵士も巻き込んでいく。
俺が急に速度が上がったので、兵士達は思わず足を止めて俺の方に注意を向ける。

「よそ見をしている余裕などあるのか?」

そこから豪鬼の斧が襲い掛かる。
その威力は凄まじく、四人の兵士が斧に巻き込まれて吹き飛んでいく。

「縁殿だけではないぞ!」

「民を苦しめてきた罪
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