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我が剣は愛する者の為に
救った代償
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士は再び恐怖よって政治をする為に、見せしめとして民を殺さないといけなくなる。
 すると、街としての機能が低下していく。
 だから、道中は兵士が連れていく事で、街の人との接触を断っているんだ。」

「んじゃあ、俺達みたいな旅をしている人はどうなるんだ?」

「基本的には無視だろ。
 一人二人が来た所で、何の役にも立たない。
 むしろ、旅人の方が協力を断るだろ。
 圧倒的に分が悪い。」

俺の言葉を聞いて鐙黄は俯いた。
あれを見た限り、旅で訪れた人に俺達と同じ様に声をかけたのだろう。
そして、断られてきた。

「あんたは鴈龍のとこで何をしていたんだ?
 これだけの情報を知っているという事は、文官か何かか?」

見た目からして武はそれほどないと思うのが、率直な感想だった。

「その通りです。
 私はこの街の城で文官として働いていました。
 鴈龍が県令になって、悪政に不満を抱き、前県令を殺した事を耳にして、私は城を出ました。
 天の御使い様の噂を聞いたのは、働いていた時に噂を聞いていました。
 貴方達がこの街を訪れたのを見て、もしやと思いましたが・・・・これは天命なのかもしれません。」

城を出たのはかなり前だとすると、まだ天の御使いとしての噂が十分に広まっていない時期だろう。
最初に天の御使いの事を口にした言葉は、お世辞だろう。
城を出て、情報を仕入れる事ができないのだから、本当に天の御使いの噂が国中に広がっている事も知らないかもしれない。

「敵の兵士の数は分かるか?」

「鴈龍の直属の兵士の数はおよそ百五十。」

「さらに元からいる兵士の数も加わると厳しい戦いになりそうだな。」

俺達の戦力は四人。
一刀はまだ木刀なので、戦わせるわけにはいかない。
相手は腐っても傭兵などで腕を鍛えた奴らだ。
武器を持っていない一刀には厳しくなる。

「いえ、その心配はありません。」

俺達がどう戦うかを考えていた時、鐙黄がそう言う。

「鴈龍の悪政に疑問を抱いているのは私だけではありません。
 前の県令に仕えていた兵士や文官は、皆鴈龍の悪政をよく思っていません。
 この街で貴方達が最初に倒したのも、鴈龍の直属の兵士であって、この街の兵士ではありません。」

「つまり、俺達が街の為に戦うと分かったら、手を出してこないのか。」

「おそらくは。
 しかし、彼らは自分可愛さに手伝う事はしないでしょう。」

「だろうな。
 もしそうでなかったら、とっくに反旗を翻している。」

ともかく、俺達の敵は鴈龍とその兵士だけとなった。
約百五十人。
これなら何とかなるかもしれない。

「よし、早速行くか。」

「えっ!?
 作戦とか考えなくていいんですか!?」


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