救った代償
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俺達は突然現れた謎の男について行く。
裏路地の奥を進んでいくと、別区画の通りに出た。
表通りと違い、人が行き交っていた。
ふと、視線を横に向けると、先程兵士に殴られていた人達が別の人に運ばれていた。
兵士を殴ってから確認すると、姿がなかったので少し気になっていたが、ここに運ばれていたのか。
「こちらです。」
そう言って、男は一つの家に入って行く。
いつでも刀を抜けるように柄に手をかけつつ入る。
中はそれほど広くはなく、男は中央に座る。
俺達もそれに続いて一列に並んで座る。
「さて、何から説明したものか。」
何から話せばいいか迷っているようだ。
「まずは名前を教えてくれないか?」
一刀が男に話しかける。
はっ、とした顔をして苦笑いを浮かべながら男は答える。
「私は鐙黄と申します。」
名前を聞いて今度は自分の名前を言おうとした、一刀だったが。
「名前は聞かなくても分かります。
北郷一刀様ですね。」
「えっ、俺の事を知っているのか?」
「この国で天の御使いを知らぬ者はいないでしょう。」
爽やかさな笑みを浮かべながら言う。
それを聞いて一刀は少しだけ照れているようで、誤魔化すように頭をかいている。
それを見て、少しだけ俺はため息を吐いて鐙黄に質問する。
「それで、天の御使いである事を知っているお前さんが俺達に何の用だ。」
俺達の事を知っているのなら話は速い。
いきなり核心を突く様な発言を聞いて、鐙黄は何かを決心したような面持ちで口を開いた。
「お願いです。
この街を救ってはくれないでしょうか?」
「貴方の口ぶりからすると、やはりこの街は悪政によって苦しめられているのですね。」
相手が初対面だというのもあるのか、落ち着いた口調と敬語で月火は言う。
その言った言葉は間違っていないらしく、鐙黄は頷いた。
「この街を治める県令、鴈龍の行っている悪政に民は苦しんでいます。」
「詳しく教えてくれませんか?」
星が尋ねると鐙黄は説明を始める。
「元々、この街を治めていたのは鴈龍ではありませんでした。
前の県令はそれは優しく、人望に溢れておりました。
政治もしっかりとしていて、私達の街もその県令を信頼していました。
ある時、一人の男と何百という仲間がこの街にやってきました。」
「それが鴈龍。」
俺の言葉に鐙黄は頷く。
「県令は負傷している鴈龍とその仲間を養う事にしました。
月日が経ち、完全に治った鴈龍達は恩を返すと言って、この街を兵士として働く事になりました。
彼らは真面目に働き、県令も彼らを信頼していました。
もちろん、住民もそうでした。
しかし、ある事
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