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それが犬の家か
第一章

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                それが犬の家か
 この時インターネットでだ、榎本太はある世界的な富豪の家を見ていた。まだ中学生であどけない顔立ちで黒髪は短く身体つきもまだこれからという感じだ。
 そしてだ、その家を見て笑って言った。
「何だ、普通の家じゃないか」
「あんた何見てるのよ」 
 高校生の姉の里菜黒髪をロングにしていて大きなはっきりした目と小さな顔と唇にきりっとした眉を持つ一六〇程の背で胸も大きい彼女が聞いてきた。
「一体」
「いや、ホワイト=ゲイルさんの家見てるんだけれど」
「あの世界的な大金持ちの」
「あの人のね」
 家のパソコンの画面を観つつ答えた。
「家を見ていたけれど」
「凄い豪邸いや」
 里菜は太の言葉を聞いて言った。
「お城みたいなのよね」
「いや、それがだよ」
「それが?」
「ほら、これ」
 画面を指差してその家を見せて話した。
「このお家だよ」
「あれっ、日本の一軒家位ね」
 その画面を観てだ、里菜も言った。
「それじゃあ」
「世界的な金持ちって言うけれどさ」
「お家はこんなのなの」
「いや、拍子抜けしたよ」
 太は笑って言った。
「うちマンションだけれど」
「一軒家じゃないけれど」
「世界的なお金持ちって言うから」
「もうお城みたいなって思ってたのね」
「僕だってね」
 こう姉に話した。
「そう思ってたけれど」
「こんな一軒家なんて」
「思わなかったよ」
「私も驚いたわ」
「そうだよね」
「ええ、しかし」
 ここでだ、里菜は。
 ふと画面の一番下の白い英語と思われる文章に気付いた、それで弟に言った。
「あれっ、何か書いてあるわよ」
「何処に?」
「ほら、ここ」
 画面の一番下を指差して話した。
「ここにね」
「あっ、本当だ」
 弟も言われて気付いた。
「書いてあるね」
「ええと、ドッグズハウスね」
「ってことは」
「このお家あれよ」
「犬の家なんだ」
「そうよ、犬小屋よ」
 それだというのだ。
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