第23話 正宗の覚悟
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意は固いようです。
私は司馬懿に全てを話しました。
彼女が曹操という人物に脅迫紛いの方法で仕官させられたこと。
その後、曹操の元で栄達をしていくこと。
しかし、司馬懿の才の高さ故、曹操に常に警戒されるようになること。
司馬懿の死後、彼女の子供2人が簒奪を計画すること。
司馬懿の孫が簒奪に成功させること。
その話を司馬懿は沈痛な顔で聞いていました。
「私の子供や孫は簒奪者になるのですね・・・。ふふ、人にその才を恐れられ、その才を主君の為に使い続けた挙げ句、その主君からは警戒される。想像は着いていたこととはいえ酷い人生です。結局、私は仕官したところで、報われぬのですね。いくら栄達しようと、これでは滑稽ではありませんか。劉ヨウ殿、私はあなたが知っておられる通り、幼少のころより才知溢れていました。その才の所為で私に心許せる者など居りません。部屋に引きもるようになったのも誰とも会わなければ嫌な想いをせずに済むと思ったからです。何故、劉ヨウ殿は私を右腕にしたいとお思いなのですか?」
「あなたが簒奪者となった訳ではない。簒奪者はあなたの子供とその孫です。なら、あなたの子供を簒奪者にならぬ様な人物に育てればいいだけです。それに簒奪が全て悪いとは思いません。仮に、君主が手の施し用のない愚者であるなら、簒奪もまた正しいことです。愚者に治められる民が苦しむ姿を無視する方が悪と思います」
司馬懿は簒奪者なのではない。
少なくとも司馬懿自身は、魏に対し忠節を尽くしたと思います。
簒奪を計画したのは、あくまで彼女の子供のしたことです。
司馬懿は私の言葉を黙って聞いていました。
空気が重たいです。
どうすればいいでしょうか。
・・・・・・。
このままでは司馬懿を軍師にすることに失敗します。
今回失敗しても、何度でも仕官交渉をするつもりでしたが、司馬懿が自分の将来に悲嘆して、引きこもりが酷くなるかもしれないです。
そうなれば、二度と司馬懿に会うことができなくなるかもしれないです。
この機会を逃したら、次が無いと思った私は、別の話をしようと考えました。
何か良い話はないでしょうか・・・。
司馬懿の気を引けそうな話・・・。
駄目です想いつきません。
そうです!
私の最終目標について語りましょう。
麗羽にまだ話していないので気が引けますが、司馬懿に話しましょう。
私はこの空気を払拭するために、司馬懿に自分の描く未来への青写真を話すことにしました。
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