第2部
スー
名もなき村
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いじいさん。ルカは俺たちの大切な仲間だ。そんな大事な仲間を、あんたの無謀な計画に付き合わせるつもりはない。一度考え直した方がいいんじゃないのか?」
「そっ、そうだよ!! そんなんじゃ町を作るどころかここで生活することだって出来ないよ!!」
「でもわし、ここに町作るって、決めた。考え変えるつもりない」
「なんだと……!?」
あくまでも考えを曲げないグレッグさんに、ますますユウリの目つきが険しくなる。
「待ってください。そもそもグレッグさんは、どうやってここで一人で生活してるんですか?」
と、ここへルカがグレッグさんに助け船を出すかのように尋ねてきた。グレッグさんはすがり付くような視線を送り、ルカの問いに答える。
「わし、スー族で一番狩りが得意。あと、この辺の海、色々落ちてる」
「落ちてる? ……ひょっとして、どこかの国からここの海岸に流れ着いてるんですか?」
するとグレッグさんは、自分の家を指差した。
「その落ちてるもので、この家作った。食べ物も、なんとかなってる」
なるほど、あの滅茶苦茶な家は、海から漂流してきたもので作ったというわけか。
けど、それと町を作れるかは別問題だ。
「グレッグさん。まずは、お金を得るためにここで集められる資源を探しましょう。あとは船を停められるよう、港も作った方がいい」
「町作るためなら、お金、頑張って作る。けど、本当にいいのか?」
「やると決めたからには最後までお手伝いしますよ。それに、おれも善意だけでやろうとしてるわけではないですから」
「善意だけ、じゃない?」
グレッグさんは首をかしげる。
「おれ自身が成長するためです。グレッグさんの町作りを手伝う対価として、おれが一人前の商人になるための経験値を得る。お互い損することはないと思いますが」
「いや、君が良ければ、わし、何も文句言わん。町を作ることに協力してくれる、それだけでわしは助かる」
「なら交渉成立ですね。それと、ユウリさん。一つ頼みがあるんですが、いいですか?」
「……なんだ」
「もし旅先で商売に困ってたり心機一転したい商人や、自由に国を行き来できなくて悩んでいる冒険者に出会ったら、この場所を教えてもらってもいいですか?」
ユウリは暫く考え込んでいたが、やがて何か決意したかのように口を開いた。
「……お前なりに何か考えがあるんだな」
「はい」
「わかった。そう言うやつを見かけたら、声をかけるようにする」
「待って!! 何でユウリまで勝手に話を進めちゃうの!?」
私の叫びに、ルカはいつもと変わらない様子で振り向く。
零れ落ちそうな涙を必死で堪えながら、私は彼の『姉』として訴える。けれど泣くのを我慢して必死に強がっている姿は余計にカッコ悪くて、なんだか私だけとても無様に感じた。
「なんだよアネキ。も
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