第二章
[8]前話
「血縁で言うと叔父さん叔母さんだけれど」
「実子じゃないか」
「だからなのね」
「それでもいいんだね」
「何が悪いんだ」
「そうよ、貴方は赤ちゃんの時に家に来てよ」
それでというのだ。
「ずっと育ててきたのよ」
「これまでな」
「親子として」
「そうだったな」
「それじゃあよ」
「お前はわし等の息子だ」
紛れもなく、そうした言葉だった。
「ずっと一緒にいて育ててきたんだぞ」
「その絆があるのよ」
「だったら血縁なんて何だ」
「貴方は私達の子供よ」
「絆・・・・・・」
そう言われてだ、貞治は。
雷で打たれた様になった、それで言った。
「それで親子になるんだ」
「そうだ、確かに血は大事だ」
「そのことは事実よ」
二人もこのことは否定しなかった。
「けれどずっと一緒にいて育ててきた」
「その絆も大事だな」
「その絆があるからよ」
「わし等は親子だ」
「そして私達の子供なら」
「一番上の子供で長男だからな」
それならというのだ。
「もうだ」
「貴方が家そしてお店を継ぐものよ」
「絆だね、わかったよ」
今度は目から鱗が落ちた様になってだ、貞治は言った。
「それで僕達は親子なんだ」
「だから麻美と亜美をお前をお兄ちゃんと呼んでるだろ」
「自分達のね」
「家族だから。それじゃあ」
「ああ、いいな」
「お店はお願いね」
「跡を継いでしっかりしていくよ」
もう血がどうとかはなくなっていた、それでだった。
貞治は晴れ渡った顔で答えた、そして。
彼はお店を継ぐ修行を本格的にはじめやがて店の主となった。そうして妻を迎え店を切り盛りしていった。両親も妹達もそんな彼を家そして店の大黒柱と言った。
妹達はその兄にだ、笑顔で言った。
「お兄ちゃんがいてくれてよかったわ」
「しっかりしたお兄ちゃんでね」
「自慢のお兄ちゃんよ」
「我が家のね」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
妹達に笑顔で応えた、その姿は完全に家族のものだった。そうして店を手伝う妹達そして大旦那それに大奥さんとなった両親の助けも借りるのだった。
親子は絆 完
2022・7・21
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