第二章
[8]前話
「実にな、だがだ」
「だがといいますと」
「今の君の調子の悪い時は神童と呼ばれただ」
「子供の頃の調子のいい時よりもですか」
「いい、音程も怪しいと言われるが」
批評家達にというのだ。
「だが演奏する曲を学びよく知り練習もだ」
「してきたので」
「その分だ」
調子の悪い時もというのだ。
「よくなっている、また調子の波の幅もな」
「それもですか」
「短くなってきている」
「そうですか」
「だからだ、君はより音楽を学び練習をしていくなら
「その波の幅もですね」
「縮まっていく、君の実力も上がりな」
それと共にというのだ。
「だから悩むのならな」
「学び」
「そして練習することだ」
そうするといいというのだ。
「ありきたりの返事になるが」
「そうですか、調子の波もですか」
「努力でだよ」
演奏する曲を学びよく理解し練習を重ねてバイオリンの技量も上げていくことでというのだ。
「よくなる、だから」
「私はですね」
「努力で克服するんだ、いいね」
「わかりました」
神楽坂は教授の言葉に頷いた、そしてだった。
これまで以上に音楽に励んでいった、すると。
「まだ調子の波があるが」
「その幅がかなり縮んだな」
「調子の悪い時もましになった」
「それぞれの曲の理解も凄い」
「よくなったな」
「前よりもな」
批評家達はこう話した、そしてだった。
神楽坂の評価と人気は上がった、それを見て教授は彼に話した。
「やはりな」
「努力すればですね」
「調子の波もな」
彼の弱点であるそれもというのだ。
「なくなっていく、本当にだ」
「努力こそがですね」
「音楽を高める最高のものだ」
「それではこれからも」
「学んで練習していってくれ」
「そうしていきます」
神楽坂は確かな声と顔で頷いた、そうしてだった。
彼は世界的なバイオリニストになった、その時にはもう調子の幅を言われることはなくなっていた。いつもいい演奏だと言われた。
波のあるバイオリニスト 完
2022・7・21
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