暁 〜小説投稿サイト〜
フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです
第5章 修行編
第18話 修行
[9/9]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
る。でもなんだか子ども扱いされているような気もするのだ。思わず視線を下に移してしまう。
「カグラ…」
「な、なんだ…?」
名前を呼ばれ、私は上目使いでアレンの顔を覗き込んだ。以前読んだ『男を落とす方法』なる本で会得した技だ。男の人は女の人の上目遣いに弱いらしい。私は少しでもアレンに女として見てもらいたくて、必死にアレンにアピールをした。
「この身体の使い方、そして剣術への昇華を1週間で会得してもらう」
「1週間…できるだろうか…」
アレンの表情に変わりはない。上目遣いが弱いなど本当なのだろうか?私は少し落ち込みながら、アレンの言葉に返事をするように答えた。
「カグラにならできる。筋は俺よりいい」
それに対して、私はすぐに言葉を返せなかった。アレンは私を否定するようなことを言わない。いつも褒めて優しくしてくれる。…たまに意地悪をされることもあるが、私は悪い気はせず、むしろアレンと対等に関われていることに高揚感さえ覚えている。
「ほ、ほんとうか…?」
「ああ、本当だ」
そういって、アレンはもう一度私の頭を撫でた。そして、あろうことか私の頬に手を移動させる。一気に顔から火が出るほど恥ずかしい気持ちが生まれる。思わず目を見開き、アレンを見つめた。アレンの手の温もりと感触が、頭の時とは違い、直に私の肌に伝わる。緊張で身体が少し震えているのが分かる。
「ふふっ、成長したなカグラ。強くなっただけじゃなく、さらに可愛くなった」
「〜〜っ///」
アレンの言葉に私はこれ以上にない幸福感を覚え、頭がクラクラするのが分かった。そして、思わずバランスを崩してしまう。
「おっと、大丈夫か?」
「……うな」
アレンは私の肩を掴み、支えてくれる。
「ん?」
「あ、あんまり、そういうことを、言わないでくれ…その、嬉しいけど…とても恥ずかしい」
私は震える声で呟くように伝えた。アレンは少し目を見開き、驚いているようであった。
「わりー、わりー、いじめすぎたかな?」
アレンは悪びれもなく笑って見せた。そんなアレンの姿に、私も思わず笑ってしまう。そして気付く。私がアレンという男に惹かれた一番の理由は、強さでも、かっこよさでもない。この、屈託のない、笑顔なのだと。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ