第5章 修行編
第18話 修行
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だからこそ、全力で修行に臨もうと改めて決意した。
…のはいいのだが、さすがに昨日の疲れは完全には癒えていない。アレンはそんな私に、「万全な状態での戦闘など、そうそうあるものじゃない。大半は不利な状況に立たされての戦闘が多い。だからこそ、疲労を残した状態で修行に取り組むのも一つの修行だ」と言われた。私はそれにひどく共感し、身体に鞭を打って今日も修行に取り組んでいる。
今日はどうやら、魔法というよりは、基本的な膂力についての修行らしい。昨日の戦闘で得たデータから、私の膂力の練度は10段階で5だそうだ。私としては、剣を扱うということもあり、膂力については多少の自信を持っていただけに、少し落ち込んだ。だが、アレンが言うのであれば間違いはないだろう。アレンは「そんなに悪くない」と言っていたが、優しいアレンのことだ。きっと私を傷つけまいと言っているに違いない。そんな風に考えていると、アレンは、基本的な身体の使い方を見せてくれた。アレンはスローモーションで事細かく剣の振り方や扱い方、その際に身体のどの部位に力を入れ、どの部位を脱力させるのかを説明する。正直、驚いた。私ももう今年で16歳だ。剣を握り始めて8年程度は経っている。それこそ、数多の剣術をこの目で見て、身体の動きや剣の扱い方を学んできた。もちろん、知識としてだけではなく、それを己の身体に叩き込み、鍛錬を重ねてきた。実力がついてきていることは自身でもわかっていたし、エルザ姉さんには劣るとはいえ、マスターから試験を抜きにしてとうにS級魔導士としての実力を持ち、聖十魔導士にも手が届きそうだと言葉を掛けられていた。
しかし、アレンから修行をつけてもらって2日目。それも膂力、身体の使い方の修行は初日である。たった1日で、自分がいかに身体や剣を扱ううえで、無駄な動きをしていたのかが理解できてしまった。さらに、アレンの言う膂力とは、とてもじゃないが簡単にこなせるものではなかった。力を入れる場所、抜く場所、全身の身体の動かし方に加え、視線、重心…それらすべてが考えながらでも難しいというのに、アレンはそれらを考えずに無意識のうちにこなしていた。いったいどれほどの鍛錬を積めば、それほどにまで練度を高められるのか、私は驚きと悔しさで頭がいっぱいになってしまった。だが、アレンにはそんなこともお見通しだったようで、そんな私の頭に手をおき、撫でながら優しく声を掛けてくれた。
「初めからできる奴なんていない。俺も最初はそうだった。だから修行をするんだ。大丈夫、カグラになら絶対に身に着けられる。俺は信じている」
アレンの手のぬくもりが、頭から伝わってくる。身体が熱を帯びているのが分かる。恥ずかしさと嬉しさ、そして些少の不満がごっちゃになり、心の中に複雑な感情として渦巻く。頭を撫でられるのは好きだ。もちろんアレン限定ではあるが、大好きであ
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