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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
四人で紡ぐ物語◆レッドギルド
第二十七話 マルバとシリカの覚悟
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アイリアに尋ね返した。
「お前、『モンスターは生きている』って本当に思ってるか? 頭ではそう思ってても心から思ってるわけじゃなかったりしないか?」
「……どういうこと?」
「俺がフウカをテイムしたのは第五十一層だった。それ以来ずっと俺とフウカは一緒だったが、ほんの2日間だけ一緒にいなかった時期がある。フウカが一度、五十三層でドラゴン級のモンスターの遠隔攻撃を喰らって死んだからだ。もちろんすぐに復活させたが、俺はそれから二ヶ月ほどモンスターを狩れなかった。剣を振るうことが怖くなって、慣れない大盾を構えてずっと防御ばっかやってたんだ。俺のバトルスタイルはその時の産物だ」
ミズキはそこで言葉を切るが、アイリアは無言で先を促した。
「俺はその時やっと『モンスターは生きている』ということを心の底から思い知ったんだろうな。俺のやっていることはレベリングなんかじゃねぇ、単なる殺し合いだ、ってことを無意識で悟ったっつーことだ。『俺が剣を振るえば目の前のこいつは死ぬ』ってことを思い知って、その重みに耐えられなくなって、剣を振るえなくなった」
「それじゃ、なんでまたモンスターを狩れるようになったの?」
「……慣れさ。単なる慣れだ」
アイリアは少し驚いて顔を上げた。
「俺が狩らなくてもパーティーの奴らは狩り続ける。仲間が敵を殺しまくるのをずっと見ているうちに慣れちまった。殺し合いに慣れるなんてとんでもねぇことだぜ、まったく。……マルバたちは十層より前にテイミングしたんだったよな? あいつらはきっと俺以上に殺し合いに慣れているはずだ。シリカは一度『プネウマの花』を使ったって聞いてるからな。マルバは知らねぇが」
「それじゃあ……私も、クロと一緒にいればいつか“殺し合い”に慣れることになるのかな」
「……ああ、慣れたくなくても、きっとな。それはこの世界のビーストテイマーに課せられた運命みたいなもんだから」

ふぅ、と溜息を一つつくと、アイリアは立ち上がった。
「ねぇ、強化素材取りに行くの手伝ってくれない?」
「なんだよ、藪から棒に。」
「前から取りに行きたいなって思ってたんだよ。善は急げ、っていうでしょ?」
「善、ねぇ。人殺しの道具でも、か?」
アイリアの顔がすっと暗くなったのを見て、ミズキは慌てて訂正した。
「いや、(わり)ぃ。さすがに今のはまずかった」

アイリアは無言で自分の装備を実体化させると、ミズキにそれを見せながら言った。
「この武器、“殺し”のための道具なんだよね」
「……ああ、そうだ」
「これを持ったところで私は何かを殺すことしかできない。それでも、私はみんなと一緒にこの世界を出たいから。この武器でたくさんの生き物を手に掛けても、みんなと一緒に現実世界に帰りたいから、私はこの武器を振るう。……だから、たとえこの世界の出
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