第二百五十五話 ヴェネツィアでの再会その二
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「幸い病気にも怪我にもな」
「無縁か」
「今のところな」
「それは何よりだな」
「お前もそうだな」
「そうだ、幸いにな」
英雄もそうだと答えた。
「俺もだ」
「そうか、じゃあお互い健康も祝ってな」
「それでか」
「今夜は飲むか」
「そうするか」
「こっちの世界での再会も祝してな」
このことも兼ねてというのだ。
「そうするか」
「仲間達と共にか」
「お互いのな」
「宴は後ではないのか」
「ヴェネツィアでだな」
「そう聞いていたしそのつもりだったがな」
「その時は外交のそれでな」
「今夜は私でか」
「ああ、プライベートでな」
その立場でというのだ。
「飲んで食おうな」
「そうするか」
「舞踏会とか音楽とかもな」
「なしだな」
「ああ、酒と食いものだけでな」
「楽しむか」
「何なら音楽もつけるけれどな」
久志はこう申し出た。
「どうだ?」
「俺はそこまではいい」
「酒と食いものだけでか」
「公の場の物々しいものでないならな」
それならというのだ。
「もうな」
「音楽はいいか」
「あっても質素なものでいい」
「バードやミンネジンガーが歌ったりか」
「楽器もアコーディオンやフルートでな」
「オーケストラでなくか」
「簡素なものでな」
そういったものでというのだ。
「別にだ」
「いいか」
「俺もそうだしな」
「お前の仲間もか」
「そうしたものでいい」
「質素なのはお互いか」
「お前もだな」
「ああ、儀礼は飾るけれどな」
「それも国として大事だからな」
「けれど普段はな」
久志は笑って話した。
「たらふく飲んで食うがな」
「それだけだな」
「服だってな」
こちらもというのだ。
「特にな」
「贅沢ではないな」
「そういうのはな」
どうしてもというのだ。
「俺達も全員興味ないからな」
「美味いと思うものをたらふくだな」
「それでいいからな、山海の珍味を集めてな」
そのうえでというのだ。
「贅を極めるなんてのはな」
「お前も興味がないか」
「ああ、全員な」
「そうだな、ならな」
「今晩はな」
「一緒に食うな」
「それじゃあな」
こう話してだった。
英雄達は久志達にデルフォイの別宮に案内されてそこで休むことになった、そして夜に宴の場がもうけられたが。
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