第二章
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彼が食べ終わるのを傍で自分も彼に差し出したのと同じ中身の弁当を食べながらじっと見てだった。
食べ終わるとだ、こう彼に言った。
「お弁当箱渡しなさい、洗ってあげるから」
「自分で洗うからいいよ」
「私がいいって言ってるのよ、ほら渡しなさい」
こう言って無理に返させてだった。
その弁当箱を家に自分と石渡が所属している企画部に戻って自分のものと一緒に洗った、これを毎日行ってだった。
他にも何かと青柳に世話を焼いた、自分と部署が違うのにわざわざ来て。
そうしていった、それである日だ。
彼が風邪で休んでいると聞くと仕事時間が終わるとすぐに飛んで行ってだった。
「お粥作ったのか、青柳の部屋に行って」
「違うわよ、おじやよ」
翌日美幸は石渡に職場で答えた。
「お粥だけじゃ栄養バランス悪いから」
「だからか」
「人参やお葱、椎茸に鶏肉を細かく切ってね」
「消火いい様にしたんだな」
「大蒜や生姜も入れて」
そうもしてというのだ。
「卵でとじたのをね」
「随分手が込んでいるな」
「たまたまあいつのお部屋の近くを通ったから」
「お前の部屋会社から見て青柳の部屋と逆方向だろ」
「たまたま用事があったからよ」
真っ赤な顔で必死に取り繕って答えた。
「だからよ、途中スーパーも偶然あったし」
「そこで食材買ったんだな」
「おじや作ってあげたのよ」
「あからさま過ぎるだろ、それで感謝しなさいとか言ったんだろ」
「それがどうしたのよ」
「そこまでやられてわからない奴がいるか、というかお弁当の時点でな」
そこでというのだ。
「相当鈍い奴でも気付いているからな」
「何に気付くのよ」
「近いうちに覚悟しておけ」
石渡は美幸にクールに告げた、そしてだった。
数日後美幸が青柳に雰囲気のあるバーに呼び出されそこで告白を受けてショックで気絶したと聞いてだった。
やれやれと苦笑いをした、そうして美幸に言った。
「受けたよな」
「仕方なくね、あまりに熱心だったから」
美幸はここでも真っ赤な顔を横にやって否定した。
「そうしてあげたわ」
「そうか、じゃあ幸せにな」
「幸せ?私は幸せになってないわよ」
「そうか、けれど俺は今の言葉取り消さないからな」
美幸が何と言ってもというのだ。
「そういうことでな」
「ふん、これからもお弁当作って何かあったら行ってやるわ」
「本心ばればれだっての」
最後はこう言った石渡だった、だが二人の結婚の時は友人の一人としてスピーチを行った、そして式の間ウェディング姿で最初から最後までずっと嬉し涙を流している新婦に対して永遠に幸せになれと心から思ったのだった。
王道ツンデレ 完
2022・7・
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