第72話 ある小作戦の終了
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い。
その上イゼルローンに辿り着くために攻略部隊をアスターテ星域まで前進させ、さらに一戦交えさせている。貸し借りという点においては、エル=ファシル攻略部隊の貸し出し超過と言っていい。そうなるとイゼルローン攻略戦部隊には、新たな軍事的な功績を作る場所が必要となる……
「長官はアスターテに来ますかな」
第四〇九広域巡察部隊司令のルーシャン=ダウンズ准将が真っ白な無精ひげを摩りながら言えば、爺様は腕を組んだまま黙って頷き……俺に向かって小さく顎をしゃくった。
「アルテナ星系からこのアスベルン星系までは、ティアマト・ダゴンの両星域を通過しなければなりません。勿論ヴァンフリート星域を突っ切ってくることも考えられますが、ティアマトに地上軍を置き去りにすることは考えにくい上、ヴァンフリート星域の帝国軍戦力が不明な以上、安全なルートをとると思われます」
仮に三.五個艦隊の半数が喪失したとして、残存する艦艇は二万隻弱。うち戦闘可能艦艇は一万六〇〇〇隻前後とするならば、ダゴン星域の支配圏優勢確立の為に五〇〇〇隻を割いたとして約一万隻を動員することが可能だ。ただしアスベルン星系に到着するにはどんなに早くても七日はかかる。
またアスベルン星系に隣接するカフライヤ星系に駐留中のドーリア星域防衛艦隊の任務交代も含まれる。元々星域防衛任務を主眼とする艦隊を前線投入すること自体が異常なのだから、これは早急に解消される。それぞれに対する補給も必要だから、まず一〇日は見込まれるだろう。
そしてここにイゼルローン駐留艦隊と、ヴァンフリート星域に駐留している帝国艦隊と、昨日打ち破った敵の残存部隊がこのアスターテに来襲する可能性がある。だがイゼルローン駐留艦隊は一万五〇〇〇隻の全てが出動してくるとは考えにくいし、アスターテに駐留していた帝国軍部隊は、付け馬から一〇〇〇隻未満と報告が来ている。
「ゆえにアスターテ星域の全星系の支配権を獲得するのは不可能でしょうが、優勢確保は出来ると思われます」
「……問題はヴァンフリート星域にどれだけの敵戦力が駐留しているか、ということか」
「おっしゃる通りです」
アップルトン准将の呟きと俺の返答に、小会議室の空気は深く澱む。駐留戦力が一万隻以上であれば、これ幸いとアスターテにいる叛徒共を撃滅せんと出動してくるだろう。三〇〇〇隻程度ならアスターテの残存戦力を吸収して航路妨害を仕掛けてくる。いずれにしても最初に迷惑をこうむるのは、アスターテに現在駐留している我々だ。
「長官より次の命令があるまで、儂らはこの星系で待機する。往復七日を目途として、各隊は索敵戦力を拡散させ敵戦力把握に努めよ。交戦は退路を切り開く以外、これを禁じる。もし確認した敵戦力が著しく過大であれば、司令部に問うことなく儂独自の
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