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序幕
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[1] 最後
 ??氷川洸夜は、3つ子の長男であり2人の妹がいる。
 片一方は努力でポテンシャルを高め、片一方は生まれながらの才能が高い。そんな中、彼はどちらにも属さない所謂『平凡』と言うものであった。才能があるわけでもなく、特段努力をすると言ったこともない。

 故に彼は、2人とは違い秀でたものの無い、全ての面に於いて平均的な者であった。
 そんな彼は、対照的であるが故に多々衝突する事のある姉妹の仲裁役を買って出ることが多い。

「貴方はまた!」
「だって〜」
「はいはい……一旦落ち着こうな」

 現に今も、この様に仲裁に入っている。そんな紗夜と日菜だが、とある1つの事に於いては一致している。
 それは、兄である洸夜への異常なまでの執着である。洸夜がクラスメイトの女子と話していたという事を聞いただけで、2人して洸夜の部屋に押しかけ事実確認を取るといった行動が多々見られた。

 その際の2人は、目から光が消えており殺意の様なものまで感じられたとか。だが、現在は久しく鳴りを潜めており洸夜にとっては平和な日常が保たれていた。そんなある日、洸夜が学校にいる時であった。

「あの氷川君……」
「……どうかしたか、小鳥遊?」

 洸夜に話しかけてきたのは、彼と共に学級委員を務める少女、小鳥遊鏡花。

「その……これを……」

 そう言って鏡花は、1通の便箋を手渡すと走り去っていった。

「……手紙?」

 訳がわからない、といった様子で洸夜は首を傾げる。すると突然、洸夜の肩を何者かに叩かれる。驚いた洸夜は、即座に振り向く。

「なんだ、祐治か……」

 振り向いた先にいたのは、洸夜の親友である鹿島祐治。

「良かったな洸夜」
「なんで?」
「多分それ、恋文ってヤツだ」
「……ラブレターってことか」

 それを聞き、複雑な表情をとる洸夜に祐治が問いかける。

「ん、どうかしたのか?」
「いや、なんでもないさ」

 そう答える洸夜であったが、やはり浮かない表情であった。

「ま、なんかあったら言ってくれよ」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、俺は部活があるんで」
「ああ。またな」

 そう言い残して走り去る祐治を見送った洸夜は、荷物をまとめ下校する。帰り道、洸夜は普段は跨ってる自転車を手で押しながら歩いていた。先ほど貰った手紙について考えていた故に。

「恋文……ねぇ」

 中身はどう言ったものなのか。それ以前に2人の妹に気付かれたらどうなるか。絶え間なく思考を続けつつ橋を渡った瞬間、洸夜は聞き馴染みのある声で呼び止められる。

「??お兄ちゃん」
「日菜……」

 今、最も会いたくない人物の1人、日菜であった。

「……どうしたんだ、こんなところで」
「うーん、なん
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