序幕
[3/4]
[1]次 [9]前 最後 最初
「お前、いつから……」
「今さっきからよ。で、これは何?」
そう言って広げた紙を洸夜に向ける。
「……分からないから開けたんだが」
「嘘ね」
洸夜の言葉を即座に否定した紗夜は、懐から黒い機械を取り出しその電源を入れる。
『良かったな洸夜』
『何が?』
『多分それ、恋文ってヤツだ』
『……ラブレターってことか』
「……?!」
そこから流れてきたのは、今日あった学校での祐治との会話。
「貴方はこの時点でわかっていたはずよ?」
洸夜へと告げる紗夜の瞳は、光を失い鋭い刃物のようであった。そんな紗夜の視線に晒され硬直している洸夜だったが、ふと我に返ると壁に掛けてあった制服の襟元に手を伸ばす。
「……盗聴器か?!」
襟の裏側に仕込まれていた機械を引き抜きながら、洸夜は戦慄する。いつからこんなものが仕掛けられていたのかと。
「いつから……」
「??お兄ちゃん」
「……日菜?!」
洸夜に追い討ちを掛けるかの如く、クローゼットの中から日菜が姿を表す。
「……嘘ついたらどうなるか……わかってるんだよね?」
「……ッ」
日菜に圧倒された洸夜は、一歩引き下がる。それに合わせてジリジリと詰め寄ってくる日菜。一歩、また一歩と下がるうちに、洸夜はとうとう窓際まで追い込まれてしまった。
「……ヤベ」
窓に手をつけた洸夜は小声で呟く。逃げ場がない状況に危機を覚えながら。
「で、結局貴方は分かっていたのでしょ。手紙の中身を」
「こう言うことがないように周辺は固めてたけど、まさか同じ学校の同級生もその対象だったなんてねぇ」
「俺の周りを……固めてた?」
「そうだよ。お兄ちゃんに悪い虫が寄り付かないようにね」
その一言を聞いた洸夜は、既に妹達が危ないを通り越していることを察する。それと同時に、これ以上は不味いと感じた。
「腹括るしか……!」
この場から離れるために意を決した彼は、後ろ手で窓の鍵を開くと目にも留まらぬ速さでバルコニーへと飛び出す。そしてそのままの勢いで、柵を超え身を投げ出そうとした。
「ッ……?!」
直後、彼の首元に強い刺激が走り全身から力が抜けていく。それによりバランスを崩し倒れそうになる洸夜だったが、なんとか柵を掴みダウンを回避する。
「な……なんだ……」
薄れ始めた意識の中、振り向いた彼の視線に映ったのは日菜の手に握られたスタンガン。
そのスタンガンに注意を取られていると、彼に再び強い衝撃が走る。ここで洸夜の意識は途切れてしまうのだった??
数日後、CiRCLEに併設されたカフェスペースにて、長い茶髪をポニーテールに結った少女と共に卓に着いた紗夜の姿があ
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ