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序幕
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「お前、いつから……」
「今さっきからよ。で、これは何?」

 そう言って広げた紙を洸夜に向ける。

「……分からないから開けたんだが」
「嘘ね」

 洸夜の言葉を即座に否定した紗夜は、懐から黒い機械を取り出しその電源を入れる。

『良かったな洸夜』
『何が?』
『多分それ、恋文ってヤツだ』
『……ラブレターってことか』
「……?!」

 そこから流れてきたのは、今日あった学校での祐治との会話。

「貴方はこの時点でわかっていたはずよ?」

 洸夜へと告げる紗夜の瞳は、光を失い鋭い刃物のようであった。そんな紗夜の視線に晒され硬直している洸夜だったが、ふと我に返ると壁に掛けてあった制服の襟元に手を伸ばす。

「……盗聴器か?!」

 襟の裏側に仕込まれていた機械を引き抜きながら、洸夜は戦慄する。いつからこんなものが仕掛けられていたのかと。

「いつから……」
「??お兄ちゃん」
「……日菜?!」

 洸夜に追い討ちを掛けるかの如く、クローゼットの中から日菜が姿を表す。

「……嘘ついたらどうなるか……わかってるんだよね?」
「……ッ」

 日菜に圧倒された洸夜は、一歩引き下がる。それに合わせてジリジリと詰め寄ってくる日菜。一歩、また一歩と下がるうちに、洸夜はとうとう窓際まで追い込まれてしまった。

「……ヤベ」

 窓に手をつけた洸夜は小声で呟く。逃げ場がない状況に危機を覚えながら。

「で、結局貴方は分かっていたのでしょ。手紙の中身を」
「こう言うことがないように周辺は固めてたけど、まさか同じ学校の同級生もその対象だったなんてねぇ」
「俺の周りを……固めてた?」
「そうだよ。お兄ちゃんに悪い虫(・・・)が寄り付かないようにね」

 その一言を聞いた洸夜は、既に妹達が危ないを通り越していることを察する。それと同時に、これ以上は不味いと感じた。

「腹括るしか……!」

 この場から離れるために意を決した彼は、後ろ手で窓の鍵を開くと目にも留まらぬ速さでバルコニーへと飛び出す。そしてそのままの勢いで、柵を超え身を投げ出そうとした。

「ッ……?!」

 直後、彼の首元に強い刺激が走り全身から力が抜けていく。それによりバランスを崩し倒れそうになる洸夜だったが、なんとか柵を掴みダウンを回避する。

「な……なんだ……」

 薄れ始めた意識の中、振り向いた彼の視線に映ったのは日菜の手に握られたスタンガン。
 そのスタンガンに注意を取られていると、彼に再び強い衝撃が走る。ここで洸夜の意識は途切れてしまうのだった??





 数日後、CiRCLEに併設されたカフェスペースにて、長い茶髪をポニーテールに結った少女と共に卓に着いた紗夜の姿があ
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