第七十話 詰所はお家その二十三
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「その現場見まして」
「部活に入らない様にしたの」
「そういうことです」
「トラウマになってるのね」
「あの、柔道って技絶対に畳の上でかけますよ」
ここでこう言ってきました。
「絶対に」
「そう言われてるわね」
「畳がクッションですから」
「床の上だと衝撃が完全に来るから」
「はい、畳の上で」
もうそれは絶対なのです。
「かけます、けれどそれを床の上でやったんですよ」
「下手したら障害ね」
「それも受け身知らない人に」
「そこまでいくと完全に犯罪ね」
「その犯罪が何も問題にならなくて」
それでというのです。
「平気で仕事続けられるの見てです」
「怪我したらただ損なだけで」
「部活は最初から入らないんですよ」
「危険を避けるってことね」
「ええ、中学の時の最初に見まして」
「極端にも程があるお話だけれど」
私は新一君に言いました。
「そうした現実を見て」
「部活は入らないで」
「他のことをしてるのね」
「はい、そうしています」
「真一君は色々あり過ぎね」
お話を聞いているとです、この子の好き嫌いの激しさというか嫌いな相手への徹底的な嫌悪にも理由があると思いました。
「親戚のことといい学校のことといい」
「そうですか?」
「そこまでおかしな人と巡り合う人もそうそういないわよ」
まだ高校生なのにです。
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