第八十話 地下神殿の死闘・後編
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迎えた古代フリース人の亡骸と推測された。
「トリステイン憎しで人間をやめた連中だったが、こうなってしまっては……な。丁重に弔ってやってくれ」
「……畏まりました」
無数の人骨を弔うように命令すると、アンリエッタがミシェルに掴まって降りてきた。
「お兄様、お怪我はございませんか?」
「無事だよアンリエッタ」
「ミシェルもご苦労様」
「恐縮でございます陛下」
奈落の底に降り立ったミシェルは、深々と頭を下げた。
「お兄様、あの人達はどうなったのですか?」
「スライムの事か? それだったら完全に凍り付いて動く事もできないだろう」
マクシミリアンが顎でしゃくると、その先には凍り付いてバラバラになった『這い上がるモノ』が倒れていて、中の人骨があちこちに散らばっていた。
「お兄様、彼らをどうなさるのですか?」
「知れた事、二度とトリステインにあだ名す事の内容に燃やし尽くす」
「そんな! 可哀想ですお兄様。お止め下さい!」
「おいおいアンリエッタ。少し前に『楽にしてやった方が救われる場合もあるから覚悟しておけ』と言ったとき、お前は何と言った? 僕は覚えているぞ」
「そ、それは……」
「可愛い愛玩動物じゃないんだ。反論は受け付けない」
マクシミリアンは踵を返して、魔法衛士隊に辺りのスライムを燃やし尽くすように命令を下した。
魔法衛士隊は、たちまち散らばったスライムを燃やして回る。
補助としてマクシミリアンは酸欠にならないように、燃やして出た二酸化炭素を酸素に変換し続けた。
一面の銀世界は、魔法衛士隊の火魔法で溶けていき、やがてカビた奈落の底に変わっていった。
巨大スライムは、見る見るうちに、炎で溶かされ蒸発していく。
アンリエッタは、巨大スライムの成れの果てを見て涙を流した。
「うう、ぐすっぐすっ……」
「なあ、アンリエッタ。古代フリース人は同情すべきところもあるだろうが、そんな何千年前の恨みを、今になって晴らそうとしたのいただけないよ。そんな奴らは滅びて当然だ」
「……そんな!」
アンリエッタはショックを受けた。
普段はあんなに優しかった兄だったが、敵対した者には容赦の無い冷酷な面を今回初めて見たからだ。
「でも、私は助けたかったんです。みんな幸せになって欲しかった……」
「アンリエッタのやさしさは素晴らしいと思うよ。けどね、世の中善人ばかりじゃないんだ。それどころか優しいアンリエッタを利用する輩が現れないとも限らないから」
「……ぐすっぐすっ」
「今は分からなくても、大人になれば分かってくれると思う。けど、その優しさを失わないで欲しい。さ、アンリエッタ。上
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