第八十話 地下神殿の死闘・後編
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くわけにもいかずアニエスも衛生兵の輪の中に入った
一方ルイズは、働ける場所を得て楽しそうなアンリエッタを寂しげな目で見ていた。
……
ルイズはこの歳になっても魔法が使う事ができなかった。
数日前、ラ・ヴァリエール家では家人達がヒソヒソとルイズの行く末を案じて話しているところを偶然聞いてしまった。
『ルイズお嬢様は今日も奥様に叱られて……』
『10歳をお過ぎになられても、魔法がお出来になられないなんて』
『王妃様はあんなに素晴らしいお方なのに……』
『なんて不憫な御方なのでしょう』
『まったくだわ……将来貰い手があるのかしら』
日頃から王妃の妹という境遇がルイズの劣等感を刺激し、言いようの無い焦りと行き場の無い劣等感をルイズにいだかせていた。
「魔法が使えなくたって、私は貴族。逃げない事が貴族なのよ!」
自分自身に言い聞かせて、ルイズは地下神殿へと戻っていった。
野戦病院特有の喧騒がルイズの姿を掻き消し、彼女が地下神殿へ走り去るのに誰も気付く事がなかった。
☆ ☆ ☆
地下神殿の戦闘第二ラウンドは、グリフォン隊とヒポグリフ隊が、終始有利を保っていた。
『這い上がるモノ』が液状である為、何らかの攻撃をしようとすればマクシミリアンの氷結魔法でたちまち凍りつかされ、『這い上がるモノ』は手も足も出ない状態だったが、トリステイン側は効果的な攻撃法が見つからず時間ばかりが無駄に過ぎていった。
「タフな敵だ、各員は精神の無駄使いに注意」
マクシミリアンが指令を出し、膠着状態がさらに続いた。
『這い上がるモノ』を倒す方法はあると言えばある。
それはマクシミリアンの切り札、『目から破壊光線』だったが、シャジャルの警告以来、破壊光線を封印していた。
「マクシミリアンさま、これではきりがありませんわ」
「……カトレア、少し時間稼ぎをしてもらっていいか?」
「何か策がおありなのですか?」
「まあね」
「畏まりました。フレール!」
『クェ!』
カトレアが呼ぶと使い魔のフレールが、電撃で『這い上がるモノ』に攻撃を加え始めた。
一方のマクシミリアンは言うと……
『コンデンセイション』
水魔法の初歩『コンデンセイション』で空気中の水蒸気で水を作り始めた。
「湿気が強いから、大量の水が作れそうだな」
「マクシミリアンさま、何をなさるお積りなのですか?」
「今は秘密だ。時間稼ぎ頼んだぞ」
マクシミリアンが『コンデンセイション』で作り出した水玉が10メイルほどの大
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