暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第119話:ヒーローは遅れてやって来る
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 その障壁を張っているのはミカではなく…………彼女の前に佇むキャロルであった。黒煙が完全に晴れると、キャロルは障壁を消した。

「面目ないゾ」

 キャロルに守られた事に申し訳なさそうにするミカ。だがキャロルはミカの事を責めなかった。

「いや、手ずから凌いでよく分かった。……俺の出番だ」

 そう言ったキャロルの目は、明らかな戦闘者のそれだった。彼女は戦うつもりなのだ。

「ラスボスのお出ましとはな!」
「だが、決着を望むのはこちらも同じ事!」
「……ラスボスかどうかは、分からないけどな」

「何だと?」

 ぼそりと呟いた奏の言葉に、キャロルが低い声で反応した。キャロルが反応した事に何らかの手応えを感じたのか、奏は口角を吊り上げて言葉を続けた。

「お前ら、ジェネシスの魔法使いと繋がってるんだろ? それ、本当にただの協力関係か?」
「何が言いたい?」
「いやぁ? ただお前みたいな嬢ちゃんは、簡単に騙されそうなんでね。実はジェネシスの連中に体よく利用されてるんじゃないかって」

 よく口が回る奏の様子に、翼とクリスは颯人の姿が重なった。無意識の内に颯人を真似たのか、それとも一番近くで彼の事を見てきたからか。

――それとも颯人さんと会えない寂しさの裏返しか……――
――何だい、天羽先輩にも可愛いところあるじゃんか――

 何にしても奏の可愛らしい一面に、2人はこっそりと笑みを浮かべる。

 だが愉快でいられないのがキャロルであった。己の意志で計画を進めていると言うのに、それを別の誰かに裏で操られているのではと疑われたのだ。面白い訳がない。

「……ミカ、お前は戻れ。全てに優先されるのは計画の遂行…………だが!」

 キャロルの射殺すような鋭い視線が奏を射抜く。その視線を受け、奏は挑発する様に肩を竦める。

「天羽 奏……貴様は今この場で確実に仕留めさせてもらう。俺が望む歌を唄えぬ貴様は、計画にとって邪魔でしかない」
「は? 望む歌? 何のことだ?」
「お前は知る必要無い。何しろお前はここで死ぬからな」

 その言葉と共にキャロルが手を振り上げる。すると直後、奏の背筋に冷たい何かが走る。

 直観に突き動かされ、奏は翼とクリスを突き飛ばしながら自身もその場から飛び退いた。

「どわっ!?」
「奏ッ!?」
「くっ!」

 奏が動いた事で、翼とクリスもその場から強制的に動かされる。すると直後に、彼女達が居た場所――より正確に言えば奏が居た場所――に、何発もの魔法の矢が突き刺さった。

 難を逃れた奏が魔法の矢が飛んできた方を見れば、そこにはメデューサに率いられた3人のメイジの姿があった。

 ここに来ての増援に、奏は思わず舌打ちをする。

「チッ、今更
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