第六百六十四話 連合軍への考えその十
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「奴隷貿易でも無茶苦茶言っておるのう」
「そうですかね」
「確かに船に詰め込んで動けない様にして死んだら海に捨てておったが」
それは真実でもというのだ。
「船の乗組員がストレス解消で嬲り殺しにするなぞじゃ」
「なかったですか」
「商品を粗末に扱うと思うか」
「いえ、エウロパの連中ですから」
「だからそれが偏見じゃ、わしは中南米やアフリカに攻め込む連中ともやり合ったが」
博士が見たところならず者達だったからである。
「しかしじゃ」
「やっていないことはですね」
「あるのじゃ」
こう野上君に話した。
「やはりな」
「悪の限りを尽くしていてもですか」
「所詮人間の出来ることは限りがある」
博士は語った。
「その身体は一つであるからな」
「だからですか」
「しかも顔は一つ目と手と足は二つずつじゃな」
「耳もですね」
「そして口は一つじゃ」
そうであるからだというのだ。
「如何なる悪人でもじゃ」
「出来ることは限度がありますか」
「それは偉人や英雄も同じじゃ」
素晴らしいとされる者達でもというのだ。
「やはりな」
「出来ることは限られていますか」
「神仏とも精霊とも違う」
そうしたことはというのだ。
「やはりな」
「そうなんですね」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「そこはな」
「人の出来ることは限りがありますか」
「しかも人が少ないとな」
「尚更ですか」
「十字軍といっても当時中国の軍隊よりずっと少なかったぞ」
「ああ、そうですね」
言われてみればとだ、野上君もはっとなって頷いた。
「人口が少ないですから」
「それ即ち国力じゃな」
「人口は」
「中国陶磁は宋でまあ一億おったか」
「それが一番多いですね」
「それで八十万と言われる軍勢であった」
俗に八十万禁軍と称していた、禁軍とは皇帝の軍という意味でありまさに宋の軍であるということだ。
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