第二十八話 心地よくない朝その十二
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「うちに来てもお土産絶対に持ってきてくれるし」
「ケーキな」
「お茶とか自分で淹れるしね」
「泊まるとかしないしな」
「ご飯を食べるにしても少しだし」
「あいつは謙虚だ」
一華の父も言った。
「昔からな」
「そうよね」
「だからな」
それでというのだ。
「お父さんもそんな親戚はな」
「いないわね」
「ああ、そんな親戚がいたらな」
「本当に困っていたわ」
「そうだな」
「ええ、けれど世の中には」
「そんな人もいるからな」
この現実の話もするのだった。
「果てしなく図々しい人がな」
「残念なことにね」
「こんな人はこっちが何かしても恩も感じないぞ」
「当然なのね」
「そしてどんどん厚かましくなるんだ」
「遠慮なく」
「最初から遠慮なんてしなくてな」
それでというのだ。
「どんどんそうなっていくんだ」
「人を何だと思ってるの?」
「そうした人は自分しかないからな」
娘こう話した。
「利用するだけだ」
「都合のいい時だけなのね」
「それで自分の調子がよくなったらな」
「その人が困っていても」
「助けない」
「そうなのね」
「だからな」
そうした輩だというのだ。
「そんなことはな」
「しないのね」
「ああ」
全くというのだ。
「本当にな」
「そんな人好かれないわね」
「そうなるな」
当然として、というのだ。
「実際にな」
「そうよね」
「だからな」
それでというのだ。
「好かれたいと思ったらな」
「そんな人にならないことね」
「図々しく尊大になったらな」
それならというのだ。
「嫌われてな」
「誰からも相手にされなくなるわね」
「人を利用するだけの奴は誰も助けないだろ」
「ええ」
一華もその通りだと答えた。
「本当に」
「最初はよくても皆気付くな」
「その人がどんな人か」
「それでそうなるんだ」
「誰からも相手にされなくなるのね」
「それで終わりだ」
まさに誰からも相手にされなくなってというのだ。
「自分一人で何とかするのしてもだ」
「人を利用するだけの人って」
「そればかり考えてな」
人を利用する、このことだけをというのだ。
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