第百四十五話 M作戦
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
至るまで経済が混乱し、当時は国際的な通貨であったポンドが一気に衰退し、グレートブリテンの経済、国際的地位が低下し、大混乱に陥ったのです」
テレーゼの蘊蓄に皆が感心しながら、話を聞いている。
「しかし、どの様にそれだけの紙幣を叛徒の領域に流通させるのですか?イゼルローンからのスパイルートでは危険が多いのではありませんか?」
ケスラーの危惧は皆の危惧でもある。イゼルローン要塞から密かに伸びるスパイ網は極秘の物であるためそう易々と使うわけにもいかないからである。
「その点については、今直ぐに行う訳ではないのです。長期展望に基づいた計画なのですから」
「ほう、それはどの程度の物じゃ?」
フリードリヒ四世は娘の知恵を興味津々に楽しんでいる。
「はい、まずは来年早々のG作戦に依って、ヴァンフリート星域への進出で基地ごと捕獲。それが成功した後で、フェザーン経由、いやシャフト技術大将からルビンスキー経由や、偽亡命者によりヴァンフリートでの敗北を拭いたい叛乱軍宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥と、その腰巾着のアンドリュー・フォーク中佐へ、イゼルローンツヴァイと首飾りの情報を与え、建設途中の今攻めなければ、イゼルローン回廊が難攻不落になると錯覚させ、大艦隊を誘き寄せ、B作戦で撃退します」
「殿下の仰る様に事が運びますか?」
ケーフェンヒラーが危惧したように話す。
「そうですね、確かに机上の空論と言えますが、叛徒の主立った者達の性格や思考を総合的に研究させた結果、乗ってくる確率が非常に高いと出ました」
「485年はヴァンフリート星域、第6次イゼルローン要塞防衛戦で大規模戦闘は終わると思います。その辺は帝国軍三長官に釘を刺す必要が有りますけど」
「テレーゼ、仮に思惑通り、叛乱軍が大損害を受けたとしてそのまま畳みかけた方が良いのでは無いか?」
フリードリヒ四世の疑問は参加者全員の疑問でも有った。
「では父上、仮にこのまま叛乱軍を撃退し叛徒共を征服したとして、その後どうなさいますか?」
逆に質問返しを受け、フリードリヒ四世も考えてしまう。
暫く考えた後、徐に答える。
「新領土として分割統治する訳にもいかないと言う事か」
「そうです。叛徒は民主共和制という衆愚政治にドップリ浸かっています。今現在は叛乱軍として攻めかかって来ていますけど、軍が消滅すれば、後は民衆による終わりのないゲリラ戦が続くでしょう」
「しかし、それならば鎮圧すれば良いのでは?現に貴族の叛乱では鎮圧に成功していますし」
さしものケスラーも同盟市民の感情までは推し量れないようだ。
「ケスラー、考えても見て、貴族の叛乱と叛徒の叛乱は全く別物よ。貴族の叛乱は親玉達を潰せばお仕舞いだけど、叛徒は叛徒の領土全域でゲリラ戦を130億近い者達が繰り
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ