第五十九話 疑惑を自分でその九
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「あるのよ、それで人の失恋を嗤ったりしたら」
「怨まれるんですね」
「下手したら一生ね」
「だから嗤ったら駄目ですね」
「それで若し自分が失恋とか離婚とかしたら」
嗤ったその後でというのだ。
「嗤われた方が怨んでいたらね」
「今度はこっちが嗤われますね」
「嗤われるどころかね、復讐鬼なら」
嗤われた相手がそうなっていればというのだ。
「もう何されるかね」
「わからないですか」
「尾鰭付けて周りに言い回られたりとかね」
「しますか」
「人間の怨みを甘く見たら駄目よ」
副部長は咲に真剣な顔で話した。
「今話した通りに復讐鬼にもよ」
「なるから」
「日本の歴史で一番怖いものは何か」
「このお話の流れだと」
「災害や戦争も怖いけれどね」
「怨念ですね」
「東京の結界もね」
幾重にも張り巡らされているというそれもというのだ。
「怨霊もよ」
「恐れてですね」
「張ってるし京都なんかね」
「あそこは有名ですよね」
「そう、遷都だって怨霊を恐れてだし」
桓武帝が政治の中の陰謀劇で怨みを飲んで亡くなられた相良親王の怨霊を恐れられてのことだったという、それが平安京のはじまりだったのだ。
「それで幾重にもよ」
「結界を張って怨霊から逃れようとしたんですね」
「それで明治維新の時もね」
副部長はこの時のことも咲に話した。
「明治帝はまず怨霊の調伏を行われたから」
「それだけ怨霊が怖がられてるんですね」
「日本ではね」
「それだけ怖いから」
「怨霊はね、そのことを見てもよ」
「怨みは怖いですね」
「だから怨まれないことよ」
このことが大事だというのだ。
「ずっと憎まれるとかも嫌でしょ、小山さんも」
「そんなの嫌ですよ」
絶対にとだ、咲も答えた。
「絶対に」
「そう思うならよ」
「最初からですね」
「怨まれない様にすることよ」
「それが大事ですね」
「そう、怨まれないことは」
まさにというのだ。
「人生にとって一番気をつけないといけないことの一つよ」
「そこまで大事ですね」
「だから人の失恋もね」
「嗤わないことですね」
「最初からね」
「そうなんですね」
「それで好きになったら。不倫とかは駄目でも」
それでもというのだ。
「自分でも止められないこともね」
「あるんですね」
「その時はもうね」
それこそというのだ。
「全力でね」
「全力ですか」
「向かうことよ」
「そうですか」
「この人の作品を読んでいても思うわ」
武者小路実篤のそれもというのだ。
「人の心の動きも書いていてね」
「恋愛はいいってですか」
「読んでいると思うわ」
「そうですか」
「怖いものであっても」
「それでもですね」
「好きになった
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