第三幕その五
[8]前話 [2]次話
「そうなのに」
「それがなんだ」
「あの甘さがなのね」
「抵抗があるって人も多いんだ」
「日本以外の国では」
「そうなんだ」
「そうなのね、あの味は誰にも好かれるものじゃないのね」
先生のお言葉に頷いています。
「そうなのね」
「これがね」
「成程ね、そのこと覚えておくわ」
お静さんは先生に答えました。
「そうしておくわ」
「そういうことでね」
「ええ、海軍だとね」
「善哉とか羊羹だよね」
「そうしたものをよく食べていたのよ」
「大和で羊羹を造れたしね」
先生はこの戦艦のお話を出しました。
「そうだったしね」
「流石先生、よく知っているわね」
「他にもラムネを造れたしね」
「そうそう、大和はね」
「それで冷暖房も利いていたのよ」
「当時の軍艦では珍しいことだったよ」
冷暖房があることはというのです。
「内装も凄かったよ」
「いい戦艦だったわ」
「お静さんは大和に乗ったことあるのかな」
「一度化けてね、水兵さんに」
「そうしてなんだ」
「呉に行って試しに乗ってみたのよ」
その大和にというのです。
「どんなものか興味を持ってね」
「そうしたんだね」
「そうしたらね」
「凄かったんだね」
「かなりね、それでなのよ」
先生にさらにお話します。
「私も知っているのよ」
「そうだったんだね」
「それでその大和があった戦争からね」
第二次世界大戦からというのです。
「結構経ってね」
「田中さんご夫婦は結婚したんだね」
「お二人共戦争中に生まれて」
そうしてというのです。
「高校を卒業してすぐになのよ」
「就職してだね」
「結婚されたのよ」
「そうだったんだね」
「そしてそれからよ」
結婚してからというのです。
「六十年よ」
「それだけ経って」
「ずっと一緒だったのよ」
「昭和から平成、令和と」
「一緒だったのよ、そう思うと凄いでしょ」
「本当にね、三つの元号の間ずっと一緒なんてね」
昭和から平成、令和のというのです。
「凄いことだよ」
「昭和は色々あったわ」
お静さんは遠い目になりました、そのうえで先生に言うのでした。
「戦争だけじゃなくてね」
「高度成長にだね」
「何かとね、災害もあったしね」
「地震や台風に」
「何かとあったわ、けれどね」
それでもというのです。
「今思うと懐かしいわ」
「悪い思い出はあるかな」
「今思うと殆どがいい思い出よ」
そうなっているというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ