第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
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だけの時間が過ぎた頃だろうか。
泣きながら、小さくまた口を開いたのは。
「刃物の刺さる寸前に、時間が止まったようなものだった。動き出せば、こうなるのは当たり前だったんだ」
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「はあああ? なんだあああ? この宇宙を、滅ぼすだあ?」
がなりたてるカズミ。
その騒々しく荒々しい声にまるで動じることなく、白い衣装の少女は小さく頷いた。幼く見える顔だというのに、妙に落ち着き払った表情のまま。
ここは建物の中、部屋の中である。
先ほどアサキたちがいた部屋とは、また別の。
白い衣装の少女に導かれるまま、ここへときたわけだが、正直アサキはここが建物の何階で、どの辺か、さっぱり分かっていなかった。
通路が、前後左右どころか上下にもうねうねとしているためだ。
無数の奇怪な凹凸がある白い壁には窓もなく、外を確認することも出来ないためだ。
現在ここにいるのは、四人。
白いふんわりを着たブロンド髪の少女、
アサキ、
治奈、
カズミ。
ここは白いふんわり衣装を着た少女の、プライベートな部屋であるとのこと。
だから、許可した者しか入れないように、ロック、通報、撃退、追尾、セキュリティは万全。強引に突破も可能ではあろうが、迎撃リスク背負ってまでここへ入ろうとする者なども普通はいないだろう、と少女からはそう説明されている。
そもそも、先ほど戦った黒い服装の少女たち以外、誰の姿も見ていないので、セキュリティ云々いわれてもアサキにはあまり実感のわかないところであるが。
ただ、危険承知で強引に入っても仕方ないというところは納得だ。
ただ真っ白なだけで、ほとんどなんにもない部屋だからだ。
小物一つ置かれていない小さな机と、簡素な寝台があるだけだ。
その部屋で、アサキと治奈は立って壁に寄り掛かっており、カズミはベッドの上でミニスカートだというのにまた大きくあぐらをかいている。
ブロンド髪の少女は机の椅子に腰を掛けており、ふんわり垂れた布地が床に触れそう。
「そうだとして、宇宙を滅ぼすことと、アサキの生命を執拗に狙うことが、どう関係すんだよ!」
部屋に着いてまだ二言三言しか言葉をかわしていないというのに、もうカズミは声を荒らげ、色々な謎を知っているはずの少女へとこうして食って掛かっているのである。
「大いに、あるのです」
対してブロンド髪の少女は落ち着いたものである。
「だから、どう関係あんだよ! お前もヴァイスタで『新しい世界』起こそうとしてんのかよ! 至垂かお前はあ! つうか至垂のあのデカイ蜘蛛みたいな姿は、なんなんだよ! つうかどこだよ、ここはどこだよ! そもそ
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